まずは、桜とともに名所・名刹の歴史を散策できる古都鎌倉を代表する花見スポットを紹介します。
鎌倉 桜の名所11選 2025年最新版
年間約1,300万人が訪れるという鎌倉。その中でも春の鎌倉は、歴史ある寺社と桜が織りなす美しい風景を見ることができ、毎年多くの観光客を魅了しています。鎌倉には、古都ならではの情緒溢れる桜の名所が点在し、春の桜の時期は、寺院や神社の荘厳な佇まいと見事に調和するのが特徴です。
本記事では、鎌倉を訪れる際にぜひ楽しんでいただきたい桜の名所を「王道スポット」と「穴場スポット」に分けて紹介します。お気に入りの場所を見つけたら、桜が寺社や歴史的建造物を演出するこの時期だけの景色を楽しんでください。
まずは、桜とともに名所・名刹の歴史を散策できる古都鎌倉を代表する花見スポットを紹介します。
1253年に北条時頼が創建した、日本最古の禅宗専門道場で、鎌倉五山の一つとして格式高い臨済宗建長寺派の大本山です。
境内の庭園は季節ごとの花が美しく、特に桜と紅葉の季節に人気があります。桜は控えめながら、国重要文化財に指定されている三門や仏殿、法堂といった歴史的建造物とともに楽しむことができ、桜が咲くことで一層荘厳な雰囲気が漂います。
総門から三門までの間が、建長寺の中で一番有名な桜スポット「桜のアーチ」です。道の両脇に満開の桜が咲いている風景は、思わず足を止め写真に収めたくなります。
建長寺では、ソメイヨシノ以外にも、早咲きのおかめ桜や、ソメイヨシノと同じ時期に見られる枝垂れ桜を堪能できます。おかめ桜の見ごろは2月下旬から3月上旬ごろ、ソメイヨシノと枝垂れ桜は、例年3月下旬から4月上旬が見ごろです。
境内は広く、周囲の自然と歴史ある建物が調和した風景が楽しめますので、静かに桜を楽しみたい方におすすめのスポットです。春の桜の時期や秋の紅葉シーズンは観光客が増えますが、早朝や夕方は比較的静かに参拝できます。
建長寺
住所 〒247-0062 鎌倉市山ノ内8
電話 0467-22-0981
アクセス JR横須賀線「北鎌倉駅」から徒歩約15分
駐車場 参拝者専用駐車場あり(有料)
拝観時間 8:30-16:30
公式サイトはこちら
写真提供:鎌倉市観光協会
北条政子も帰依していた法然上人開祖の浄土宗の寺院で、大仏さまの愛称で親しまれる尊像の「大異山高徳院清浄泉寺」で知られる鎌倉を代表する場所です。
潮風や雨、経年により損壊が進んだ尊像は、江戸の商人らによる支援により1730年代に大規模な修復が施されました。その後も大正、昭和、平成にも修繕や耐震の補強が施されています。1958年に国宝に指定され、創建から770年超経過する現在も、鎌倉の地で人々の祈りの対象として静かに座っています。
高さ約11.3メートルの巨大な鎌倉大仏が鎮座する高徳院の境内には、春になると大仏を囲むように桜が咲き誇り、歴史と自然が融合した風景が楽しめます。大仏の周辺に桜が広がり、他では見られない独特な光景が訪れる人を魅了します。大仏内部に入ることもでき、歴史を体感しながら桜を楽しめるのが魅力です。
桜の見ごろは、3月下旬から4月上旬です。この時期は歴史ある大仏と桜のコントラストが楽しめ、写真映えするスポットとしても人気が高いです。春の観光シーズンは訪問者が増えるため、朝の早い時間が比較的ゆったりと観賞できるでしょう。
鎌倉大仏殿 高徳院
住所 〒248-0016 鎌倉市長谷4-2-28
電話 0467-22-0703
アクセス 江ノ電「長谷駅」から徒歩7分
拝観時間 【4〜9月】8:00-17:15(17:30閉門)【10~3月】8:00-16:45(17:00閉門)
駐車場 障害者用駐車場1台分のみ(近隣に民間の有料駐車場あり)
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1063年に源頼義が創建し、1180年に源頼朝が現在の場所に遷座した鎌倉の象徴的な神社です。1191年に火災にあいましたが、頼朝は後ろの山の中腹を切り開き、装いを新たに鶴岡八幡宮を創建し現在の上下両宮の姿となりました。頼朝の死後も執権を務めた北条氏をはじめ足利氏や豊臣秀吉・徳川氏など、時の最高権力者も再建、復興に努めるなど、時代を問わず篤い崇敬を受けている鎌倉のシンボル的な存在と言えるでしょう。
境内には、太鼓橋を挟んで左右に、源氏池と平家池が広がっています。桜と水辺の風景が美しく、四季折々の自然を楽しむことができます。
鶴岡八幡宮は、鎌倉駅周辺で数多くの桜を一度に眺められる代表的な花見スポットでもあります。頼朝の妻・北条政子の安産祈願を込めた参道「段葛(だんかずら)」の桜並木が有名で、桜のトンネルのような美しい風景が広がります。また、源氏池の周囲も桜色に染まり華やかな雰囲気に包まれます。境内の池と桜の景色や段葛の桜並木は写真映えするスポットとしても人気。ぜひ散策しながら桜を楽しんでください。
桜の見ごろは3月下旬〜4月上旬です。このころは大変混雑し、特に段葛は観光客でにぎわいます。ゆっくり散策したい方は、早朝の訪問がおすすめです。
また、鎌倉駅から鶴岡八幡宮に向かうルートは、伝統的な土産物店からファッショングッズ、カフェなどが続く商店街「小町通り」が人気です。帰りに、神の使いである鳩をかたどった「鳩サブレー」も縁起がよさそうです。
鶴岡八幡宮
住所 〒248-8588 鎌倉市雪ノ下2-1-31
アクセス JR・江ノ電「鎌倉駅」東口から徒歩約10分
拝観時間 6:00-20:00
駐車場 参拝者専用駐車場あり
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浄智寺は、鎌倉五山の第四位に位置する臨済宗円覚寺派の寺院で、1281年に北条宗政の菩提を弔うため創建されました。当時は中国(宋)からの渡来僧も多く、鐘楼門や本堂など「宋風」という当時の中国の様式をうかがうことができます。
本尊の木造三世仏坐像は神奈川県の重要文化財に指定されています。境内は国の史跡に指定され、寺域は源氏山ハイキングコースにある天柱峰まで広がっています。その境地は昭和の初めから文化人に好まれ、映画監督小津安二郎、日本画家小倉遊亀などが暮らしていました。境内の墓所には作家澁澤龍彦など、文人たちが眠っています。
浄智寺の桜は、タチヒガンザクラ、 枝垂れ桜、 山桜が植えられており、見ごろは3月下旬から4月上旬です。桜の木が自然に囲まれた境内に点在し、竹林や苔むした庭園とのコントラストが感動的で、自然の中に佇む静かな桜スポットとしておすすめです。観光地としては穴場で、比較的静かな雰囲気の中、歴史的な寺院で桜と共に心安らぐひとときを過ごせます。
浄智寺
住所 鎌倉市山ノ内1402
TEL 0467-22-3943
アクセス JR横須賀線「北鎌倉駅」から徒歩約10分
拝観時間 9:00-16:30
駐車場 参拝者専用駐車場あり
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護摩修法が行われていたこの地に、鎌倉幕府三代執権「北条泰時」が、1219年に【成就院】を建立しました。かの空海もここで修行を行い、また北条一族もお参りした由緒あるお寺です。
ご本尊の不動明王は、願いを叶えてくれると話題になり、特に縁結びを願う女性に人気だそうです。また、子授け・安産・子育ての功徳のある「子安地蔵」。二つの丸い「子生み石」は、その石をなでるとご利益があるとも言われています。
成就院は、108段の階段を上った山上にあり、由比ヶ浜を一望できる眺めは絶景スポットとしても人気です。特に桜が満開になる春は、この季節だけの特別な絶景が見られます。参道から眺める桜と海の絶景は成就院ならではの景観を楽しめます。
桜の見ごろは3月下旬から4月上旬です。この時期は参拝者が増えるため、混雑が苦手な方は早朝や平日に出かけるのをおすすめします。また、成就院は、桜だけでなく紫陽花の名所としても知られています。
成就院
住所 〒248-0023 鎌倉市極楽寺1-1-5
電話 0467-22-3401
アクセス 江ノ電「極楽寺駅」から徒歩約5分
拝観時間 8:00-17:00 ※冬期(11/1-3/1)8:00-16:30
駐車場 近隣に民間の有料駐車場あり
公式サイトはこちら
続いては、おすすめの穴場スポットを紹介します。縁結びのパワースポットや、多彩な四季の花が咲き継いでいく寺、絶景パノラマの中で楽しむ桜、カイドウの花との共演など、気になる桜を見つけてぜひお出かけください。
甘縄神明神社は、平安時代の710年に行基が草創し、由比の長者と呼ばれた豪族・染屋時忠が建立したとされる鎌倉最古の神社です。石段を登れば、山を背負った静謐な空間。この地で千年以上もの時を重ね、数々の歴史を見守ってきました。
境内には桜の木が数本あり、神社の古い建物と桜の風景が調和した静かな花見スポットで、鳥居背後の桜が、由緒ある古社を彩ります。桜の見ごろは、3月下旬〜4月上旬で参道・鳥居・石段・拝殿が一直線に並び、桜越しに見る景色はまるで絵葉書のようです。高台の境内からは、遠く相模湾を見渡す絶景も楽しめるでしょう。
他の桜の名所に比べると訪れる人が少なく、静かな環境で桜を鑑賞できますので、ゆっくり桜を鑑賞したいという人におすすめのスポットです。
甘縄神明神社
住所 〒248-0016 鎌倉市長谷3-1-1
アクセス 江ノ電「長谷駅」から徒歩約5分
拝観時間 自由
駐車場 なし
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三方を低い山に囲まれている鎌倉の中心部、その北西に連なっている源氏山から、「神奈川の公園50選」の1つ「源氏山公園」を尾根伝いに行くと見えてくるのが【葛原岡神社】です。
後醍醐天皇の忠臣として鎌倉幕府倒幕に活躍した日野俊基卿をお祀りする神社で、「開運の神様」「学問の神様」として、広く崇敬されています。
神社には、二つの縁結び石が祀られ、ハート形の「縁結びの絵馬」、鎌倉の海岸で採れた貴重なさくら貝を使った「縁結びのお守り」、運命の人と結ばれるようにと祈りを込めてひく「恋みくじ」などもあり、「鎌倉の縁結びスポット」として多くの参拝客が訪れるパワースポットでもあります。
境内の「こもれび広場」にはベンチと椅子がいくつもあるので、ここでお弁当やお菓子を広げるカップルやご家族連れといった姿も多く見かけます。
有名な寺社がたくさんある鎌倉では、ちょっと穴場的な場所ですが、銭洗弁財天宇賀福神社から歩いても近く、鎌倉市民にとっては人気のお花見スポットです。早春には社務所裏に植えられた大木の早咲ザクラがいち早い春を告げ、すぐ隣の源氏山公園にはソメイヨシノが何本も植えられていて、花盛りにはあちこちにレジャーシートが敷かれるほどの人気。
桜の見ごろは、例年3月下旬から4月上旬にかけてですが、この時期に訪れると、縁結びの神様もさらにご利益がありそうな気がします。
葛原岡神社
住所 〒247-0062 鎌倉市梶原5-9-1
TEL 0467-45-9002
アクセス JR・江ノ電「鎌倉駅」西口から徒歩30分
拝観時間 8:30-16:30 / 9:00-16:00(社務所)
公式サイトはこちら
鎌倉の花散歩といえば、アジサイの季節に訪れる北鎌倉の【明月院】が人気。そんなアジサイのイメージが色濃いスポットですが、明月院はアジサイ以外の花も楽しめる鎌倉有数の「花の寺」でもあります。
春には、ボケやハクモクレンレンギョウ、モモ、夏にはハナショウブ、ナツツバキ、秋にはカエデやイチョウ、冬にはスイセン、クリスマスローズ、ロウバイなど、四季を通じて数えきれないほどの花が次々に咲き継いでいきます。
その中でもとくに枝垂れ桜は「見事」のひとことです。アジサイで有名な参道の周辺が、春は一面ピンク色に埋め尽くされることは意外にも知られていません。植えられている本数が多いだけでなく、それぞれの枝ぶりや花付きも素晴らしいものです。
そして春の境内はアジサイの季節からは想像もできないほど静かで、穴場の絶景が心ゆくまで楽しめます。桜は青空の下で見るととくに美しく感じられる花ですが、雨の中で眺めてもまた違う雰囲気が感じられて幻想的です。
また、北鎌倉駅から明月院に向かう途中の明月院通りにはソメイヨシノが咲き誇ります。見ごろは、ソメイヨシノは3月下旬から4月上旬、枝垂れ桜は4月上旬から4月中旬です。
明月院
住所 〒247-0062 鎌倉市山ノ内189
TEL 0467-24-3437
アクセス JR「北鎌倉駅」から徒歩10分
拝観時間 9:00-16:00 ※6月(あじさいの時期)のみ 8:30-受付終了16:30、閉門17:00
公式サイトはこちら(鎌倉市観光協会HP)
鎌倉駅東口から徒歩5分ほどの場所にある【妙本寺】は、アクセスの良いお花見スポットのひとつです。駅近ながら、豊かな緑に囲まれた静かな環境が広がるこのお寺は、1260年に開かれた歴史ある日蓮宗の本山寺院の一つです。「鎌倉殿の13人」にも描かれたように、ここは鎌倉幕府の重鎮であり、第一代執権・北条時政に暗殺された比企一族の館跡に立つ寺でもあります。
境内にある宗祖日蓮聖人の木像を安置する祖師堂は、鎌倉有数の巨大な木造建築です。この重厚な建物と桜の繊細な美しさのコントラストが、訪れる人々に深い印象を与えます。
青空の下で見る境内の桜は、春らしい華やかな雰囲気を漂わせます。見ごろは例年3月下旬から4月上旬で、前庭にはソメイヨシノ、枝垂れ桜、八重桜が咲き誇り、辺り一帯が桜色に染まります。また、毎年4月13日には立教開宗慶賛千部会法要が行われ、近隣の幼稚園児によるお稚児行列も楽しめます。
ソメイヨシノが散り始める頃、代わって鮮やかな桃色の花を咲かせるのがカイドウです。この花は雨や靄(もや)にもよく似合い、鎌倉特有の海洋性気候がもたらす幻想的な景色とともに楽しめます。
境内には数本のカイドウが植えられており、その中でも祖師堂の右前に立つ大きな木は特に見応えがあります。この木は、かつて寿福寺境内に移された詩人・中原中也が、学生時代から親交のあった評論家・小林秀雄とともに眺めたとされる木の3代目です。かつて鎌倉には多くの文学者が住んでおり、「鎌倉文士」という言葉が生まれるほどでした。この木にも、そんな文学者たちとの逸話が息づいています。
妙本寺
住所 〒248-0007 鎌倉市大町1-15-1
TEL 0467-22-0777
アクセス JR・江ノ電「鎌倉駅」東口から徒歩5分
拝観時間 自由
公式サイトはこちら
▲鎌倉で有数規模の木造建築・三門を背景に爛漫と咲く満開の桜
鎌倉にあって奈良や京都にないものの代表といえば、海と富士山。その象徴となるような景色があるのが【光明寺】です。
お寺の裏手、小高い丘の中腹にある展望デッキに立つと、境内のサクラを前景にして、鎌倉有数の大きな山門の向こうに相模の海が広がり、その奥に稲村ヶ崎と江の島、背景には残雪の富士山と、見事なパノラマ風景が望めます。この展望風景は「かながわの景勝50選」にも選定されているほどの名景です。
境内に戻っても、日頃は大殿(本堂)前の広場一面が埋め尽くされているほどの桜の名所なのですが、現在は令和の大修理工事のため枝打ちされている木も多く、以前のような桜と富士山と海のダイナミックな景色を見られるのは、2030年ごろとなりそうです。それでも巨大な山門前などには、美しく楽しめる桜が何本もあります。
桜の見ごろは3月下旬~4月上旬ごろで、河津桜、ソメイヨシノ、山桜、寒緋桜、大島桜などが楽しめます。毎年、この時期に観桜会を開催(日程は年によって変わるため、公式サイト等で要確認)。大聖閣抹茶席(予約制、席料あり)、香木とお香の香りを楽しめます(要予約)。
そして、花以外にもこの時期、目の前の材木座海岸からは、ちょうど富士山の上に太陽が沈むダイヤモンド富士が見られる絶好の季節。夕方近くに境内を訪れて、そのまま夕陽を見に海岸へと向かうコースが地元の人のおすすめです。
光明寺
住所 〒248-0013 鎌倉市材木座6-17-19
TEL 0467-22-0603
アクセス JR・江ノ電「鎌倉」駅から「小坪経由逗子駅」行バスで「光明寺」バス停下車後、徒歩1分
拝観時間 7:00-16:00(夏期は6:00-17:00)
公式サイトはこちら
写真提供:鎌倉市観光協会
【光則寺】は、妙本寺とともに鎌倉が実質的な発祥の地ともいえる日蓮宗の古刹。裏山には日蓮が佐渡に流罪になった時、弟子の日朗が閉じ込められていたという土牢の跡が残されています。
光則寺は、四季を問わず茶花と山野草が咲く美しい境内が見事です。桜の見ごろは3月下旬~4月上旬で、枝垂桜がまず咲き始めソメイヨシノに続きます。門柱から山門にかけての桜並木は非常に美しく多くの人が訪れます。また桜が散るころにカイドウが見頃になり、美しい花を咲かせます。
カイドウは、光則寺の寺庭に7本も植えられており、本堂に向かって右側に植えられている古木は、市の天然記念物にも指定されています。カイドウは同じ古都でも、奈良や京都ではほとんど見かけることがありません。しかし鎌倉では人気があり、桜よりこちらの方が好きだという方も多いといいます。
その昔、楊貴妃がほろ酔いで眠そうにしている姿を見て、皇帝が「カイドウの眠り未だ足りず」といったという伝説から、「艶麗」や「美人の眠り」が花言葉になっています。まだ花を咲かせていない蕾の俯き加減の姿にも、独特の魅力があります。桜と合わせてお楽しみください。
光則寺
住所 〒248-0016 鎌倉市長谷3-9-7
TEL 0467-22-2077
アクセス 江ノ電「長谷駅」から徒歩6分
拝観時間 8:00-17:00