【2025春】おさんぽコース【材木座〜大町〜長谷〜由比ガ浜】

地域の人々に愛されるお店や古社を訪れる、春のお散歩コース

8:00【えんをむすぶ ちゃんま】鎌倉で味わう本格ちゃんこ 朝ご飯

▲店の看板メニュー「月見つくね丼」に、鶏がらスープで野菜を煮込み、ほんのり生姜を効かせたちゃんこスープ、自家製のきゅうり漬けが付く。毎朝土鍋で炊き上げるというツヤツヤのご飯の上に、ボリュームたっぷりのふっくら香ばしいつくね、そこに甘辛タレと黄身がとろりと絡み……早朝から食欲をそそる一品

平日は朝ご飯、週末のみ朝ご飯とお昼ご飯の提供をしている【えんをむすぶ ちゃんま】。鎌倉駅から徒歩14分ほどの材木座の住宅街にある居酒屋「良酒屋」を間借りして営業しているお店です。

店主まどかさんのお父さんは、なんと元力士。まどかさんが1歳のときに、ご両親が東京・武蔵小金井にオープンしたちゃんこ鍋屋さんの味を受け継ぎたいと、看板メニューの一つであり、幼少期から大好きだったという「つくね」と「ちゃんこスープ」をメインにした料理を提供しています。

▲子どもの頃から食べることが好きで、両親のちゃんこ鍋屋さんもよく手伝っていたという店主のまどかさん

▲材木座の居酒屋「良酒屋」を間借りして平日は朝ごはん、金土日は昼ごはんを提供している。地元の常連さんから美味しいと噂は広がり、駅から離れた住宅街ながら観光客も目当てにやってきます

9:00【八雲神社】桜咲く、鎌倉で一番古い厄除け開運神社を参拝

▲春には美しい八重桜が咲き誇り、参拝客を出迎えてくれます(写真:原田寛)

鎌倉駅東口から徒歩10分ほどの閑静な住宅街、大町にある【八雲神社(やくもじんじゃ)】。鎌倉で一番古い厄除け神社として、古より地域の人々を守り愛され続けている神社です。

創建は1081年から1083年とされ、新羅三郎義光(しんらさぶろうよしみつ・源義光)が、当時、疫病が流行っていたこの地に、京都祗園社(現、八坂神社)の祭神を勧請したのが起源と伝えられています。そのため、当初は鎌倉祇園社や祇園天王社と称していました。

境内には神輿などの社宝を展示する宝物殿や、御神木に寄り添うように新羅三郎義光の手玉石などが残されています。

10:30【TSUZUKU】手仕事の温もりを見て触れて感じる、革工房&ショップ

▲手に取ると、思った以上に優しい肌触り。ゆるやかな丸みを帯びた曲線や手縫いのふっくらとした縫い目など、温かみのあるデザインと丁寧な製法も魅力。定番アイテムの他、要望に寄り添ったカスタムオーダーやフルオーダーにも対応。革の繊細な色味と風合いを生かした、手軽なヘアアクセサリーやキーホルダーなども揃います。その場で名前や日付などを電気ペンで刻印も

革製品の制作・販売を手掛ける工房兼ショップ【TSUZUKU(ツヅク)】。オーナー兼デザイナーの篤さんは、学生の頃から革の小物やバッグ作りを始め、都内で革工房を立ち上げてからおよそ20年のキャリアを持つ職人さんです。

『使うほど味がでる』また『育てる』とも表現される革製品ですが、一番のお手入れは「使うこと」だそう。次第にやわらかくなり、つやがでて手に馴染むようになるそうです。

▲鎌倉のメインストリート若宮大路の下馬四角から、逗子方面へ向かう住宅街、大町大路沿いに建つ平家(以前は、板金屋さんだったそう)の古民家を改装した工房兼店内。篤さんの作品とも重なる、温もり溢れる心地よい穏やかな空気が流れます

▲バスや車が行き交う通りに面したガラス張りの店内奥では、日々ひたむきに手仕事を続ける篤さんの姿が。あまりに集中されている様子で入りづらい?! なんて気にせず、ぜひ引き戸を開けて、見て・触れて革製品の温もりを感じてみて!

11:30【La Nostalgia】鎌倉で地球の裏側アルゼンチンの家庭料理を堪能

▲濃い目に味付けした“辛くない“チョリソーをバゲットでサンドしたアルゼンチンの国民食「チョリパン」(手前)は、ハーブをふんだんに使った自家製のチミチュリソースのサッパリ感がチョリソーと絶妙なコンビネーション。アルゼンチンの煮込み料理で定番のひとつ、レンズ豆をふんだんに使い野菜と肉の旨味がたっぷり染みたトマト味の煮込み豆のスープ「ギーソ」(奥)。「カフェラテ」など、リーズナブルでボリューム満点!

店主の森ロドリゲス・パブロ英樹さんは、アルゼンチン生まれ、日本育ち。幼馴染である妻の尚子さんと営む、南米アルゼンチンの家庭料理が食べられるお店が【La Nostalgia(ラ ノスタルヒア)】です。

“アルゼンチンの美味しいもの”をコンセプトに、料理上手な両親に教えてもらったという英樹さんのこだわりは、手間暇を惜しまない本場の味。日本では、あまり馴染みのないアルゼンチンの料理ですが、移民の多い歴史的な背景などから、ラテンアメリカの文化とスペインやイタリアなど多彩なヨーロッパの食文化が入り混じり、どの料理も日本人にも馴染みやすい優しい味付けが特徴だそうです。

▲英樹さんと妻の尚子さん、アルゼンチンのサッカー界のレジェンド、パブロ・アイマール選手から名付けたという長男のアイマール君。間もなく新たなファミリーも加わる予定

▲壁にディスプレイされた英樹さんセレクトのアルゼンチンワインは、ボトルでの購入可能。一人でも過ごしやすいカウンター席も備えます

13:00【アヤメ】日々のケアで、体の内側から美しく、健やかに

▲材木座の美容室「KAFKA」によるヘッドスパ専用サロンとライフスタイルショップ

鎌倉材木座海岸に程近い人気の美容室「KAFKA」による、ヘッドスパ専用サロンとライフスタイルショップを備えた【アヤメ】。鎌倉駅から長谷寺や大仏へと続く由比ヶ浜大通りに面し、古民家をリノベーションした店内は、2階に“頭皮の整体”をコンセプトにしたプライベートサロンを設え、1階のショップでは身体と環境にやさしい選択を提案する無添加の食材の量り売りや、サロン専用のヘアケア商品などを取り揃えています。

▲髪と身体にやさしい無添加のナッツや出汁、ドライフルーツやダークチョコなど素朴ながら作り手の温もりが伝わる、スイーツや乾物などが並ぶ1階のショップ。定番人気は「イチジクオーガニックチョコレート」(手前)と「SAVOIAのクッキー」(奥)。量り売りコーナーではプラスチック削減の為、容器の持参をお忘れなく!

▲2階のスパで使用しているヘアケア商品の他、国際中医薬膳師監修の薬膳茶なども販売。1階は、ポップアップストアやワークショップ、ギャラリーなどにも利用できるレンタルスペースとして多彩なイベントも行われています。詳細はインスタグラムで確認を

14:00【甘縄神明宮】由比ヶ浜を見下ろす鎌倉最古の神社でリフレッシュ

御祭神は、天照大神。鎌倉最古の神社として知られ、春は境内の桜が見事に咲き誇り境内を彩ります。

江ノ電「長谷駅」から徒歩5分、大仏や長谷寺からも近いながら、由比ヶ浜大通りから奥まった場所のため、観光客の姿は少なく、境内は凛とした静寂に包まれています。また、高台にある社殿からは由比ヶ浜を見下ろすことができる隠れたビュースポットでもあります。

▲社務所はなく、甘縄神明宮の御朱印は大町の八雲神社でいただくことができます

15:00【三留商店】老舗の食料品店は、知る人ぞ知る鎌倉土産の宝庫

▲左から、パッケージごとに江ノ電や大仏などイラストが描かれた「ウエルカム トリップパックコーヒーBOX」5個入、鎌倉の農家が土づくりからこだわった鎌倉野菜で作った「森田ファームドレッシング」、鎌倉坂ノ下のしらす漁師三郎丸の「鎌倉しらす・うす焼き」

創業は明治15年、初代は飴屋としてスタートしたという【三留商店(みとめしょうてん)】。店内に入るとまずは、棚に隙間なくぴっしりと陳列された乾物や調味料、お菓子、酒類など、国内外の個性あふれる逸品の多彩さに目を奪われます。

さらに商品の多くには、店主の一押し! ポイントが書かれたメモが貼られ、そのどれもが熱量のこもったコメントのため、店内を一周するだけでもワクワク。あれもこれも持ち帰って味見してみたくなる魅力的な商品が並びます。

▲三留商店のこだわりと歴史が詰まった三留商店オリジナルの商品。左から、簡単に作れる「ピクルビネガー」オリジナルレシピ付。10種類以上の漢方をブレンドした医食同源の「薬膳ソース」、ちょっと贅沢なレトルトビーフカレー「鎌倉薬膳カレー」は、三留商店の看板犬・柴犬クウちゃんのイラストが目印

▲三留商店のある鎌倉・坂ノ下は、由比ヶ浜の海岸線に程近い長谷駅と極楽寺駅をつなぐ道沿い、江ノ電と紫陽花のフォトスポットとしても知られるエリアにあります

16:00【由比ガ浜】気持ちのいい春の風に誘われて、ビーチをお散歩

坂ノ下エリアから国道134号線へと抜ける小道を歩くと、家並みの間から春の陽光にキラキラと輝く青い海が見えてきます。こんな裏路地を歩くのも、鎌倉散策の魅力。道を抜けた先には、広々とした水平線と空が広がっています。

監修 湘南スタイルマガジン
取材・文 橋本幸恵
写真 三浦安間