#夏のごほうび②

湘南でクラフトビールにハマる夏

まだまだ暑い日が続き、冷えたビールが美味しい季節です。味も香りも千差万別で、近年ますます盛り上がっているビールの世界。中でも注目は、小規模のブルワリーが原料からこだわり抜いて作る“クラフトビール”です。そんな奥深いクラフトビールを楽しめる湘南の人気スポットを取材してきました!

【VANAVASA BEER+GALLERY】100種ものクラフトビールがそろう酒屋で角打ち

鎌倉駅から御成商店街をしばらく歩くと、2019年のオープン以来、ビール好きをうならせてきた酒屋【VANAVASA(バナバサ)】が見えてきます。マイクロブルワリーやナノブルワリーが手間暇かけて少量のみ生産するクラフトビールが100種近くそろう、クラフトビールの博物館のようなお店です。

▲鎌倉駅西口から徒歩5分、暖簾をくぐれば珍しい世界中のクラフトビールがあなたを待っています

酒屋の一角で立ち飲みする「角打ち」を、クラフトビールで体験できる【VANAVASA】。早速一杯いってみましょう。クラフトビールの選び方、教えてください! 「缶やラベルのデザインは作り手のパッション、ブルワリーの特徴をよく表しているんです。そこもクラフトビールの魅力。ぜひ、気になったものを“ジャケ買い”してみてください」と教えてくれたのは、オーナーの井伊乃士(いいだいし)さん。

店内の大きな冷蔵庫には、初めて見るデザインのクラフトビールがぎっしり。さらに、タップには樽生のクラフトビールが常時3種類つながっています。樽生クラフトビールは地元ブルワリー『ヨロッコビール』から一種類、しっかりした味わいのIPA、ちょっと珍しいビールの組み合わせにしているそうです。

▲井伊さんがタップから注いでいるヨロッコビールは、2012年に逗子で誕生したマイクロブルワリー。この日のビールはゴールデンエール『Brain Sharpener』 

▲夏のおすすめには、フルーツやハイビスカスのクラフトビールも。気に入ったデザインから選んでみよう!

缶や瓶以外に、樽生クラフトビールも量り売りでテイクアウトが可能。ビール専用マイボトルの「グラウラー」を使えば、炭酸も抜けず冷たいままで長時間持ち運ぶことができます。【VANAVASA】に立ち寄って樽生クラフトビールをテイクアウトし、キャンプやアウトドアで楽しむ人もいるのだとか。

▲「グラウラー」は店内で購入可能。海外の小さなブルワリーではボトリングの設備が無く、量り売りも多いのだそう

▲店内では地元アーティストの作品、雑貨やアパレルの展示販売なども定期開催。ビールのみならず、さまざまなモノ、ヒトをつないでいる

角打ち、ジャケ買い、量り売りのテイクアウトなど、クラフトビールの面白さがぎゅっと詰まった【VANAVASA】。立ち飲みにも、お土産探しにも、気軽に訪れてみてください。

【Magnetico】鎌倉観光の合間にクラフトビール&ラーメンでひと息(9/29閉店)

次にご紹介するのは、クラフトビールとラーメンを一緒に楽しめる魅惑のスポット【Magnetico(マグネチコ)】。鎌倉駅から徒歩で15分ほど、付近には鶴岡八幡宮、宝戒寺、荏柄天神社や報国寺があり、観光の合間に訪れるのも良さそうです。

▲金沢街道を進むと現れるオレンジ色のファサード。【Magnetico】を目指して定期的に鎌倉まで来るファンもいる

▲オーナーの友人の作品である木のスピーカーやイラストがいい雰囲気を醸し出す店内

まずは店内のタップリストをチェックしてみましょう。地元ブルワリーの『ヨロッコビール』と、その時々のおすすめの樽生クラフトビールが3、4種ほど記載されています。

「日本を中心に、飲み飽きない味わいのクラフトビールをセレクトしています。買い付けが殺到するような流行のビールより、オーソドックスなタイプを選ぶことが多いですね」と、オーナーの浪川実央(なみかわみお)さん。「夏なら酸味のあるビールもおすすめ。あと、『志賀高原ビール』の『山伏』も面白いですよ。野生酵母を使って熟成させたワインのようなビール。大瓶なので、何人かでシェアして楽しめます」と、店内の冷蔵庫にも掘り出し物が鎮座していました。

▲浪川さんがセレクトしたクラフトビールたち。「いい意味で中庸というか、しみじみ美味いと思えるビールを作っているブルワリーが好きです」

ラーメンの他にも麺類や自家製焼売、ご飯ものやおつまみも充実しています。食欲をそそる香りとともに、醤油ラーメンが運ばれてきました。和だしが効いたスープに縮れ麺がマッチ。そこにグビッとクラフトビール。これはたまりませんね! いただいたのは、ほどよく苦くてマイルドな『志賀高原ビール』のペールエール。ビアグラスは画像のレギュラーサイズとハーフサイズがあるので、ハーフサイズを選んで飲み比べするのも楽しそうです。

▲麺は地元鎌倉の邦栄堂製麺を使用し、無化調で作る醤油ラーメン。メンマとチャーシューに、九条葱やキクラゲなどのトッピングを追加した「全乗せ」で大満足

▲カウンター席からは味のある厨房や浪川さん手作りのタップが覗ける

店を「町中華みたいな場」と呼びラーメンやフードを充実させているのも、クラフトビールを難しくて敷居の高いものと考えず日常的に楽しんでほしいからだそう。「クラフトビールは、一種のカウンターカルチャーでもある。ビール作りに真摯に向き合う、地域の小さなブルワリーを応援していきたいですね」と麺の湯気越しに、浪川さんの熱い思いも感じることができました。

【8LOUNGE】ホテルのラウンジでオリジナルクラフトビールをゆったり楽しむ

湘南らしいお洒落な空間で、特別なビールを一杯。そんな希望が叶うのが、8HOTEL湘南藤沢に併設された【8LOUNGE(エイトラウンジ)】です。

▲藤沢駅から徒歩3分、音楽イベントやマルシェも開催されてきた、湘南カルチャーの発信地【8LOUNGE】。宿泊客以外も利用可能

▲エントランスにある3輪タクシートゥクトゥクは、ビーチまでの送迎にも使われるのだとか。湘南を楽しむ仕掛けが満載

【8LOUNGE】のシグネチャードリンクである『8 chill Vibes』は、茅ヶ崎のマイクロブルワリー『Barbaric WORKS(バーバリックワークス)』とともに作り上げたセゾンエール。8HOTELでしか飲むことができない、オリジナルクラフトビールです。

▲白と青のデザインも湘南らしい『8 chill Vibes』は、ビーチにいるような気分にさせてくれる味わい

『8 chill Vibes』を口にするとまず広がるのが、シトラスやマンゴー、パッションフルーツなどの柑橘系の風味です。「爽やかさとトロピカルさ、あえて3.5%という低めのアルコール度数が特徴で、“ドリンカブル”にこだわったクラフトビールです。ぜひ、【8LOUNGE】特製グルメバーガーと一緒に楽しんでください」とマネージャーの山崎元弥さん。たしかにとても飲みやすく、気分もリフレッシュできて、「chill」という表現がぴったりです。オリジナルクラフトビールとボリュームたっぷりのハンバーガーを目当てにやってくる地元のお客さんも多いそう。「ローカルと旅する人が混じり合う、ソーシャルハブになれたらいいですね」

それにしても、のんびり長居してしまいたくなるいい雰囲気! 秘密は、こだわりのインテリアにもありました。店内の至るところに自然素材が使われており、カナダ産レッドシダーの丸太を使ったカウンターは特に圧巻です。7メートルもの丸太は室内に入り切らず、テラスにはみ出ているワイルドさ。削り出した部分は【8LOUNGE】のテーブルにも使われています。

▲モダンなコンクリートの空間に温かみを添えるのは、スタッフ手作りの流木インテリアや湘南の美しい写真。カウンター奥には、今回の撮影を担当した三浦安間さんの写真も展示されている

▲どこを切り取っても絵になる【8LOUNGE】。店内壁面のイラストは、サインペインターNUTS ART WORKS さんの作品

2022年7月には、8HOTEL湘南藤沢内にスパ施設『8 WATER CAVE swim suits spa』も登場したばかり。宿泊客は、海の洞窟をテーマにしたフォトジェニックなプールや、サウナ・水風呂・外気浴などの「サ活」を楽しめるそう。泊まりがけで、オリジナルクラフトビール&サウナで夏の疲れを癒すというのも有りですね!

監修 湘南スタイルマガジン
取材・文 二木薫
写真 三浦安間