#地元民が案内する湘南藤沢ディスカバリー

地元民ならではの情報もいっぱい!新たな魅力を発見する、すばな通り~鵠沼海岸さんぽ!

地元民がおすすめする、いつもとひと味違う海岸さんぽ!

何度行っても楽しい江の島!ですが、いつも同じルートではちょっと物足りないときもあるかもしれません。そこで! 今回は、片瀬海岸と鵠沼海岸を知り尽くした地元民がおすすめする、いつもとはちょっと違う海岸散歩をご提案。誰かにこっそり自慢したくなる、ここだけの情報や最新情報とともにお届けいたします!

【ギャラリーT】気軽にアートに触れ、新鮮な出会いに驚く

江ノ電・江ノ島駅からスタートです! まず最初に、駅から湘南のシンボルともいえる江の島まで続く通りは、並行して流れる【境川】の鼻先という意味から【すばな(洲鼻)通り】と名付けられ、江戸時代から多くのお店や旅籠屋が軒を連ねる江島神社詣での参道として栄えてきました。

バラエティ豊かなショップに目移りしながら通りを歩くと、ひときわ歴史を感じる建物、そしてその隣にはモダンなアートギャラリーが目に入ります。そのギャップの大きさに戸惑いながらもギャラリーを訪ねてみましょう。

▲老舗の食堂や商店に交わり、スイーツ店やラーメン店など新たな店が次々と登場する【すばな通り】

▲歴史を感じる建物の隣にある真っ白な建物が眩しい【ギャラリーT】

取材当日、【ギャラリーT】で快く出向かえていただいたのは、自らが土をこねて焼いたオカリナを展示・販売する白井進さん。

オカリナの製作を手掛けて約36年、かつては鎌倉に店舗を持ち制作と販売を手がけながら、全国の有名百貨店での展示販売も行ってきたベテラン作家!ここギャラリーTでの展示販売は、今回で3年目だといいます。

▲マヤの遺跡で発掘されたものと同じ形状をしたオーソドックスなオカリナから、くじらや猫の形を風変わりなオカリナ、初心者向けのオカリナまで、さまざまなオカリナがずらり

▲オカリナを白井さんに演奏していただくと、何とも言えない暖かさと柔らかさに満ちた音色が響き渡り、何とも心地よい気分に包まれます

「皆さんもよく口にしますが、このすばな通りは参道ということもあり “気” が強い場所。外国人の方も『故郷のカリフォルニアの雰囲気に似ている』というなど、独特な雰囲気がありますね」と白井さんは語ります。

実はこのギャラリーTを運営しているのは、なんとお隣の「玉屋のようかん」を営む【玉屋本店】さん。明治45年に開業し、2022年で111年目! その趣のある店舗は国の登録有形文化財にも指定されています。その玉屋のようかんの隣りにあった老朽化した建物を取り壊し、新たにギャラリーとしたのが2006年のことだそうです。

▲まるでここだけが時が止まったような感覚すら覚える、歴史を感じさせる【玉屋本店】の建物

「東京・銀座などにはギャラリーなどがたくさんありますが、敷居も高さを感じ、躊躇してしまう印象です。しかし観光地であるこの地なら、気軽に色々な人が訪ねられより身近にアートが楽しめるのではないかと思いました」と話すのは、ギャラリーTの主宰であり玉屋本店の女将の依藤奈奈さん。

▲玉屋本店には、母方の祖父や叔父が画家であり自らも画家である依藤さんの絵も展示されています

▲玉屋本店では店内でようかんと抹茶もいただけます。2022年3月に改装してリニューアルオープンも予定しているとか

ギャラリーTは地元・湘南の作家によく利用され、写真や絵画、イラスト、クラフトまで多彩な作品を展示。2年先まで予約が埋まっているほどの人気だそう。さまざまなアートに出会える貴重な場所ながら、気軽に立ち寄れる雰囲気もあるギャラリーへ訪れて、新たなアートとの出会いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

【新江ノ島水族館】きっとまだ知らない!穴場スポットや新情報に驚く

ギャラリーTを後にして、すばな通りを海へ向かって歩いていくと、ちょっと来なかった間にオープンしたお店もちらほら。そんなお店をウォッチしながら進んでいくと、目の前に現れるのは海に浮かぶ大きな江の島! 湘南らしい風景に思わず声を上げてしまいます。

▲すばな通りを抜けると広がる「これぞ湘南!」という風景に、何度見ても心が躍ります

そんなテンションの高ぶりを保ったまま、次の目的地である【新江ノ島水族館(しんえのしますいぞくかん)】へ。江の島観光の定番スポットでもありますが、今回は特別に新江ノ島水族館の山崎さんに「何度来ても楽しめる水族館の回り方」も教えていただきました。

▲海の目の前に建つ【新江ノ島水族館】。地元民は年間パスポートを毎年更新。頻繁に行くなら年間パスポートがお得ですよ!

「まず一番に知ってもらいたいのが、この水族館の前に広がる相模湾の生物の豊かさです」と山崎さん。水族館に入って、まず初めに相模湾の豊かさを知りながら、その相模湾を一つの巨大な水槽で再現した「相模湾大水槽」を見ると、改めて約100種類・20,000匹もの海の生物に圧倒されます。

▲約8,000匹のマイワシの大群をはじめ、多くの種類の魚を展示する「相模湾大水槽」。魚によって餌をあげる時間を変えることで、魚同士が共存できるのだそう

さて、湘南と言えばすぐに思い起こすのがシラスではないでしょうか? しかし、シラスはとても弱く海で獲れてもすぐに死んでしまうため、水族館での常設展示は不可能とされてきました。しかしそれを世界で初めて成功させたのが、この新江ノ島水族館なのです。

▲「湘南の名産・シラスを展示したい」というスタッフの熱い思いが結集した「シラスサイエンス」。いつも美味しくいただいているシラスの泳ぐ姿を見ることができるのはここだけ

そしてもう一つ、この水族館を語るうえで、決して外せないのが「クラゲ」。ここ新江ノ島水族館では、ホール中央の球型水槽「クラゲプラネット」をはじめとした、計14の水槽で水にたゆたう多種多様なクラゲが見られる「クラゲファンタジーホール」は、まさに究極の癒やしスポット。

ホールに置かれたゆったりとしたソファにのんびりと腰を下ろして、薄暗い空間に浮かびあがるライトアップされた水槽と優雅に泳ぐクラゲたちを、ひたすらぼーっと眺める……。忙しい日々や喧騒とは無縁のゆるやかな時間が、心に溜まった疲れや澱をそっと洗い流してくれるようです。

▲取材日当日は、半ドーム式の空間の壁面を使ったこの時期ならではのロマンチックな演出「恋する“えのすい”」を開催。季節によりさまざまなイベントが行われるのも魅力

さて、他にも新江ノ島水族館は見どころがいっぱい。特に迫力あるイルカショーはぜひとも見たいものですが、スケジュールが合わずショーが見られないこともあるのではないでしょうか。でもそんな時は、ショーの時間ではなくてもイルカショーのプールにぜひ足を運んでみてください。ショーの間は水槽に近寄ることはできませんが、合間の時間ならOKなのです。

▲ショーの時には近づけない水槽ですが、ショーをやっていないときの合間の時間は、実は目の前を泳ぐイルカを間近に見られて一緒に写真を撮ることもできる絶好のタイミングなんです

▲2階のテラス席で、海を見ながら一休み。クラゲが泳ぐ球型水槽をイメージしたドリンクや、クラゲが光るカクテルなど、”映え“ドリンク”も楽しめます

【バルケッタ】地元民がこよなく愛する、予約必須の隠れ家イタリアン

新江ノ島水族館を存分に満喫したら、そのまま海岸沿いを歩いていきます。目の前の海、左手には江の島、右手には海に浮かぶ烏帽子岩や富士山を眺めながらのそぞろ歩きは、まさに今回のハイライト。サーフィンを楽しむ人、スケボーに興じるキッズ、ビーチバレーを楽しむアスリート、犬と散歩を楽しむ人、ジョギングに汗を流す人……。さまざまな人を眺めながら、ぼんやりと散歩を楽しみます。

▲コーヒーを飲みながら、移ろう空の色や雲の形、そしてまるで絵画のワンシーンのような美しいサンセットを楽しむ。まさにここでしか味わえない、とびきりの時間

最後の目的地は、お散歩で疲れた自分自身へのご褒美のディナーを求めてカジュアルイタリアン【バルケッタ】へ。藤沢産の野菜をはじめ、新鮮な食材を使ったカジュアルイタリアンは地元民に大人気で、常連客やリピーターでほぼ連日満席の人気店です。

▲海から歩いて約5分、静かな住宅街にそっと佇む隠れ家のようなレストラン

「特に変わった料理はお出ししてないんです。気負うことなく気軽に食せるカジュアルなイタリアンばかりです」とオーナーシェフの内田陸さん。現在のメニューは約16年もお店が続く中、お客様にリピートして食べ続けられている選りすぐりの料理ばかりだそう。

▲この日のサラダは、新鮮な藤沢産のベータキャロット(ニンジン)を使ったムースを添えたサラダ。新鮮なレタスやトマトのシャキシャキとした瑞々しさと、ニンジンの優しい甘みを感じるなめらかなムースの組み合わせが絶妙。散歩で疲れた体に、新鮮野菜の滋味が染みわたります

さてここでもう一品おすすめをお伺いすると、常連さんのリピート率が非常に高いという人気の「ツブ貝ときのこのブルゴーニュ風」を推してくれました。

通常はフレンチでよく用いられる「ブルゴーニュ風」の調理法をカジュアルイタリアンにマッチする料理に仕上げた、このお店ならではの一皿。ほどよいツブ貝の食感と、きのこと貝の旨味が凝縮されたなめらかなクリームソースがまさに絶品! ワインとの相性もバッチリで、ワインも食事もどんどん進みます。

▲おススメしていただいたイタリアの白ワイン「トレッピアーノ」を合わせて。どの料理にも合わせやすいイタリアを代表する定番ワインで、「柑橘系の優しい香りとエレガントで心地よい酸味が特徴です」と奥様でソムリエの久美子さん

▲最後にいただいたのはデザートの「カタラーナ」。クリームブリュレのアイスの表面をキャラメリゼで仕上げ、ほどよい甘さに仕上げられた一品にほっと心が安らぎます

食事を楽しんでいると、笑顔で話しかけてくださる久美子さん。何気ない会話を交わしていると自然と心もほぐれ、まるで我が家にいるかのような心地よさに包まれます。なるほど、この何とも言えないあたたかさに惹かれ、皆さんがこのお店に足繁く通い、“第2の我が家”のように利用するのでしょう。ただ、特に週末は予約で埋まってしまうことがほとんどだそうですので、事前の予約は忘れないようにしましょうね!

▲ご夫婦の優しい笑顔が作り出す、アットホームで居心地の良いお店の雰囲気。そんな素敵なお店がある地元民がちょっとうらやましいですね

取材・文 弓削洋
写真 依田裕章

※掲載情報は2022年2月末現在のものであり、変更になることがあります。