数々の御朱印や御朱印帳をご紹介

「のりおりくん」で行く江ノ電沿線 御朱印巡り

御朱印とは

江ノ電沿線各駅の周辺には数多くの寺社があり、御朱印を授与していますが江ノ電の一日乗車券「のりおりくん」を利用すると気兼ねなく巡ることができます。

元々、御朱印は寺社に写経を奉納した際に拝受する「納経受取の書付」に起源があるのではないかとされています。
よって参拝したことの証として拝受するものであり、御朱印をコレクションするだけのスタンプラリーではありません。
まずは 御朱印を拝受する方法です。
メモ帳やノートに墨書きしていただくことはできませんので御朱印帳を持参していきます。
寺社に到着後、ご本尊やご祭神などをお参りした後、納経所・授与所へ伺います。
御朱印帳は墨書きをしていただきたい箇所を開き、書いて頂いている間は私語を慎み、静かに待ちましょう。

なお、寺社によっては書き置きの御朱印のみであったり、今回はご紹介していない鎌倉・江ノ島七福神や坂東三十三ヶ所霊場、鎌倉三十三ヶ所霊場に指定された寺社への巡礼でいただく墨書きの御朱印も授与されています。

【藤沢駅】遊行寺

一遍上人(いっぺんしょうにん)を宗祖とする時宗(じしゅう)の総本山である通称「遊行寺」は、正しくは藤澤山無量光院清浄光寺と言います。

一遍上人は、平安時代に天台宗の僧空也上人(くうやしょうにん)によって始められた、念仏を唱えながら鉦(かね)や太鼓をなどを叩きながら踊る『踊り念仏』を全国に広めましたが、この『踊り念仏』が現在再注目されている、『盆踊り』の原型になったとも言われており、夏には遊行寺境内や周辺を会場にした「藤沢宿・遊行の盆」も執り行われています。

御朱印はご本尊、一遍上人、境内の地蔵尊などの種類が授与されています。
特にご本尊の阿弥陀仏さまの光明の功徳を12種類に分けて称讃する別号「十二光仏」にあわせ、月替わりで授与される御朱印は金泥で記されています。
なお、この十二光仏を全て拝受し、持参すると記念品をいただくことができます。

▲御朱印とあわせて押印される一遍上人のお姿は複数の色があり鮮やかです

▲樹齢700年とも推定される境内の大銀杏をモチーフにした御朱印帳

【湘南海岸公園駅】片瀬 諏訪神社

片瀬 諏訪神社は723(養老七)年に信濃国(長野県)に諏訪大社を勧請した神社で片瀬エリアの鎮守さまとして、大切に受け継がれています。
全国各地に勧請された諏訪神社の中でも最古とされ、諏訪大社と同様、上社・下社が残ります。

御祭神は夫婦神の建御名方富命 ( たけみなかたのとみのみこと)、八坂刀売命 ( やさかとめのみこと)であることから、良縁を願う参拝者が多く訪れています。

書き置きの御朱印は、江島神社奥津宮の拝殿天井に1803年(享和3)年、尾形光琳によって発展、その後江戸に再興させた酒井抱一によって描かれた「正面向亀図(八方睨みの亀)」を復原させた日本画家片岡華陽氏のデザインによるのものです。
通年のものには参拝した月の印が押印され、月毎の限定版も授与されています。
また2023(令和5)年は創建された723(養老7)年から1300年にあたり、ご鎮座1300年記念の切り絵の御朱印も限定で授与されています。

▲〔上段〕4月限定版の藤・桜、通年版 〔下段〕令和5年限定 御鎮座1300年記念御朱印 

▲ご朱印帳 御朱印同様に片岡華陽氏によるデザイン、片瀬西浜の月夜を描いたデザインがあります。特に昨今、多くの寺社で授与される切り絵の御朱印を折らずに保存できる見開きご朱印帳は大変便利です。

【江ノ島駅】江島神社

江島神社は多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)を祀る「奥津宮」、 市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)を祀る「中津宮」、田寸津比賣命を祀る「辺津宮」の 三社からなる御社で3柱の女神を合わせて「江島大神」と呼ばれています。
明治時代の神仏分離以前は与願寺と呼ばれていた現在の江島神社は、宝厳寺・竹生島神社(滋賀県・竹生島)、大願寺・厳島神社 (広島県・厳島)と並び日本三大弁財天の一つに数えらています。

▲書き置き〔上段・中段〕各宮・江島神社・御祭神などの御朱印、〔下段〕春(〜5月)限定切り絵御朱印

▲荒波に浮かぶ江の島と富士山や、三女神など御朱印帳(他の図柄もあります)

【極楽寺駅】極楽寺

1259(正元1)年、開山は忍性、昨年のNHK大河ドラマで話題となった北条義時の三男で名君として知られる北条重時を開基に建立されました。

ご本尊は1268(文永5)年に造られた釈迦如来立像で、国の重要文化財に指定されており、極楽寺では毎年4月7日と釈迦が誕生したとされるの8日に執り行われる仏生会でこの秘仏を公開しています。

2023(令和5)年の仏生会の詳細は、こちら

▲墨書きのみの通年の御朱印と、真言律宗各寺院で授与されている「ぼさつの寺めぐり」の御朱印にはご本尊のお姿が描かれています(専用の紙に墨書きします))

▲北条氏の家紋「北条対い蝶紋」と「三つ鱗」をもとにデザインした御朱印帳

【長谷駅 ①】長谷寺

あじさいをはじめ、梅や紅葉など年間を通じ美しい花で彩られる長谷寺は、寺伝によると736(天平8)年に徳道上人が開創、奈良東大寺の大仏を発願したことで知られる聖武天皇の治世下には勅願所と定められたとされています。

また、ご本尊の十一面観世音菩薩立像は、721年に大和(奈良)の長谷寺の十一面観音菩薩立像と併せ造られたとされ昨年12月まで本尊造立1300年を記念した行事が執り行われました。

なお、御朱印は4月から6月末まで、帳面への書き入れは行わず、書き置きの御朱印を授与されますが、坂東三十三観音巡礼、鎌倉・江の島七福神の色紙のみ墨書きで授与されます。

▲〔上段〕通年の書き置きの御朱印・左右は刺繍の書き置きの御朱印(数量限定)、〔中段〕刺繍の書き置きの刺繍御朱印(期間限定〕、〔下段〕書き置きの切り絵御朱印(2023年限定)

▲〔上段〕可愛らしい和み地蔵の御朱印帳、〔下段〕あじさい・紅葉のご朱印帳(紅葉は御朱印帳袋もあり)・和み地蔵のワンポイントが入った御朱印帳袋

【長谷駅 ②】御霊神社

平安時代中期に京から関東に下り土地を開発した桓武天皇の末裔にあたる平氏五家の始祖、鎌倉氏・梶原氏・村岡氏・長尾氏・大庭氏の5氏の霊を祀った神社で、五霊から転じて御霊神社(ごりょう)と呼ばれるようになりました。
特に鎌倉氏である鎌倉権五郎景正(かまくらごんごろうかげまさ)公を中心に祀っていることもあり「権五郎神社」とも呼ばれています。

書き置きの御朱印は江ノ電の3形式(100形:タンコロ、300形、10形)の車両が押印されたものや、鳥居前を江ノ電が通る様子の切り絵、鎌倉の伝統工芸品「鎌倉彫」の技術を活用して装飾部分を制作した印の姿が描かれ捺印されたものがあります。
墨書きの御朱印は神社の飼い猫で名誉宮司としてインスタグラムアカウントをお持ちの「ウッシー」さんの癒される姿が押印されたものや、御祭神の鎌倉権五郎景正公、鎌倉江の島七福神の1柱である福禄寿などが拝受できます。

▲書き置きの江ノ電3形式と、墨書きに押印される名誉宮司「ウッシー」さんの可愛らしい姿にほっこりします。

▲鎌倉彫の姿が美しいものと、江ノ電が鳥居前を通り抜ける様子の切り絵(名誉宮司ウッシーさんもいらっしゃいます)

▲御朱印帳は可愛らしい名誉宮司ウッシーさんの色々なポーズが描かれたもの、江ノ電と名誉宮司ウッシーさんが刺繍されたものがあります。

【鎌倉駅】佐助稲荷神社

1160(平治元)年、平氏の勢力と源頼朝公やその父の源義朝公の勢力が争ったった「平治の乱」の渦中に頼朝公は「右兵衛佐(うひょうえのすけ)」と言う官位を補任します。しかし、平清盛たちの勢力に敗北した頼朝は任を解かれ伊豆に流罪となります。
その後、頼朝に夢枕で平家討伐を勧めたとされる稲荷の神の祠(ほこら)が。
頼朝が幕府を開くと「鎌倉殿の13人」の一人の畠山重忠公に夢枕に現れた稲荷の神の祠を探すよう命じ、社殿を創建しました。
このエピソードから「すけ(佐)」を助けたため「佐助(さすけ)」と呼ばれるようになったとも伝えられ、現在でも立身出世などの功徳があるとされ、寄進された鳥居やきつね姿のお稲荷さまが所狭しと奉納されています。

書き置きの御朱印は平日、休日で異なっており、一粒万倍日(※)や、境内にあじさいが咲いている時に限り拝受できるものがあります。

墨書きの御朱印は、ご朱印帳に佐助稲荷神社で朱印を押印していただいた後、その日中(10:00〜16:00)に御霊神社におもむき、書いていただくことになりますのでご注意ください。

※「一粒(ひとつぶ)の籾(もみ)が、万倍にも実る稲穂になる」ことから何かを始めるのと良いとされる吉日。

▲〔上段〕書き置きの御朱印 〔下段〕墨書きの御朱印

▲お稲荷さま(「宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)」の使いであるキツネと並び立つ赤鳥居が刺繍されたご朱印帳

【取材・文・写真】岡林 渉