1160年創建の明月庵が起源で、その後八代執権北条時宗が最明寺を前身として禅興寺を創建。その塔頭として明月院と改められました。その後、明治初頭には禅興寺は廃絶し、塔頭の明月院だけが残り、現在の形となっています。境内に植えられた2500株のアジサイと谷戸の景観が名所となり、「アジサイ寺」とも呼ばれています。
そんなアジサイのイメージが色濃いスポットですが、明月院は鎌倉有数の「花の寺」でもあります。春にはボケやハクモクレン、ユキヤナギ、サツキ、ヤマブキ、夏にはハナショウブ、ナツツバキ、イワタバコ、ヤマユリ、フヨウ、秋にはカエデ紅葉やイチョウ黄葉はもちろん、ハギやヒガンバナ、シュウメイギク、キンモクセイ、冬にはロウバイ、スイセン、マンサク、ウメ、クリスマスローズなど、四季を通じて数えきれないほどの花が次々に咲き継いでいきます。
その中でもとくに枝垂れ桜は「見事」の一言。アジサイで有名なあの参道の周辺が、春には一面ピンク色に埋め尽くされることは意外に知られていません。植えられている本数が多いだけでなく、それぞれの枝ぶりや花付きも素晴らしいです。境内はアジサイの季節からは想像もできないほど静かで、穴場の絶景が心ゆくまで楽しめます。桜は青空の下で見るととくに美しく感じられる花ですが、雨の中で眺めてもまた違う雰囲気が感じられて幻想的ですよ。