Welcome! New Faces, New Shops ⑧

町を彩る新規開店やリニューアルされたお店をご紹介【英国アンティーク博物館 BAM鎌倉】

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OLD & NEW。古都鎌倉で体験する英国アンティークの世界。古いのに新しい価値観に出会える新観光名所(英国アンティーク博物館 BAM鎌倉)

▲鶴岡八幡宮にほど近い若宮大路沿いの洗練された建物。設計は隈研吾氏

入口の真っ黒なロンドンタクシーと赤いテレフォンボックスが目印。どちらもロンドンの町を象徴するオブジェです。鎌倉駅からは徒歩8分。鶴岡八幡宮境内まで徒歩1分。

正面の壁面は杉と檜の角材を特殊に加工し等隙間で並べているそう。差し込む日射しの角度により変化する陰影から見える表情は「鎌倉彫」の刀痕を模しており、新しい建物ながら鎌倉の街並みにもしっかりと溶け込んでいます。ここが2022年9月23日にオープンしたばかりの【英国アンティーク博物館 BAM鎌倉】(以下、BAM鎌倉)。

通りを歩く人々がロンドンタクシーや赤い電話ボックスに興味をもち、引き込まれるようにどんどん入ってゆきます。「アンティークとは人の手によって作られ100年以上経過したものを指します。この博物館は、建物自体は英国風ではありませんが、中は選りすぐりの英国のアンティークコレクションをフロアごとに異なるテーマで展示する小さな博物館です」と、語るのは館長を務める土橋正臣さん。

▲エントランスには英国直輸入の洗練されたデザインの珍しいお土産品からBAM鎌倉オリジナルグッズまで沢山。1階のミュージアムショップは無料で入場することができ、買い物を楽しむことができます

▲イギリス直輸入の文具や雑貨類もたくさん。テディベアのぬいぐるみも種類が豊富。価格も手ごろでいくつも欲しくなってしまいます

2階より上に展示されているアンティークコレクションを見るためにはBAM鎌倉への入場券が必要となります。各種チケット販売サービスなどを利用するとお得な前売り券を購入できます。混雑の状況次第で当日券も現地で求めることができるそうです。

早速、各フロアを拝見してみましょう。

▲2階は「ジョージアンルーム」ジョージア時代がテーマ。紅茶文化を支えた銀製のティーポットやティーケトルをはじめとする道具を筆頭に食器、カトラリー、そして家具などを展示

当時、紅茶を楽しむということは上流階級の嗜みでありその家の力を表すものでもあったようです。ビスケットウォーマーやエッグスタンドなどを使ってお茶とお菓子や軽食を楽しむアフタヌーンティー。どのような会話がなされていたのか・・・想像が膨らみます。100年超の歴史を持つ銀製品から放たれる輝きはまさに「パティナ(古い艶)」そのもの。

▲2階ではさらに、高級オーダーメイド靴の代名詞ともいえるジョン・ロブで実際に使われてきたオーダーメイド靴の木型なども展示。この空間はジョン・ロブ本店の地下にあるフィッティングルームを模したつくりとのこと

▲3階のテーマは、ずばり「シャーロック・ホームズの部屋」。奥に見える空間は、依頼人を迎え入れるリビングルームを模したもの。「やぁ、ワトスン君」というホームズの声が聞こえてきそう

世界中で聖書に次ぐロングセラーと言われる「シャーロック・ホームズ物語」。BAM鎌倉では実際にシャーロック・ホームズが暮らし、探偵として活動していた部屋を本場「シャーロック・ホームズ博物館ロンドン」の協力のもと再現。ひょうたん型の炭酸水製造器「ガソジン」や卓上の顕微鏡、薬品入れなど名探偵の部屋のディティールに見入ってしまいます。窓から差し込むカーテン越しの柔らかい自然光に、ここがロンドンではないだろうかと錯覚してしまいそう。

▲表紙には著者アーサー・コナン・ドイルの名が。130年の時を超え今でも読み継がれる物語。「シャーロック・ホームズの冒険」などの初版本も。鹿撃ち帽やパイプなど名探偵シャーロック・ホームズ定番のアイテムも多数

▲4階のテーマは「ヴィクトリア時代」。産業革命による国内での生産能力の増加、輸出入による経済発展と富を得た大英帝国時代。華やかさと品格のある家具や楽器、装飾品などが遺されています

富が集まり文化や芸術も大きく花開いた強い英国を象徴する時代。英国王室 御用達メーカーによるピアノ。それは細部まで装飾を施された芸術品。ベートーヴェンやショパンなど著名音楽家たちもこのメーカーのピアノを愛用し作曲や演奏をされたそうです。超大型の蓄音機は開口部で直径93センチもあるというハンドメイドの機械式蓄音機。どのような音を聞かせてくれるのでしょうか。

▲当時の道具をしてのこの加工とこの装飾。美しい木材の質感は細部まで見入らずにはいられません。鏡面越しに見えるのは、肖像画や静物画

4階には他にもヴィクトリア女王に関連するステンドグラスや刺繍が施されたシルクのスカーフ、王室の紋章をモチーフとしたアンティークが多数。この時代、一方では産業革命により、大量生産による製品が普及しはじめます。この結果、粗悪な品が巷に増えたことを嘆いた思想家ウィリアム・モリスは職人による手仕事で作られた工芸品の復権を主眼とする「アーツ・アンド・クラフツ運動」を掲げ、その考えは世界に広がってゆきます。

ヴィクトリア時代とは、職人的な手仕事によるモノづくりの最成熟期である一方、同時に衰退の始まりでもあったようです。

▲4階にはもう一つ、特別な空間が。BAM鎌倉が建つ土地はなんと800年前の北条氏邸宅跡。建築時に土中から発見された木材を活かそうというアイディアから生まれたティールーム。現地で窓からの風景をぜひご覧ください

中高生時代を鎌倉で過ごしたという隈研吾氏は言わずと知れた世界で活躍する建築家。2018年に開館したイギリス国営のヴィクトリア・アルバート・ミュージアム(V & A)スコットランド分館ダンディの設計も担当されています。この博物館内には、日本の影響を強く受けたと言われる名建築家 チャールズ・レニー・マッキントッシュが作ったティールーム(The Oak room)が、当時のそのままを再現し展示されています。

北条邸跡から発見された木材、そして鶴岡八幡宮の境内や背後の雪ノ下の里山が見える方角のスペース。V & A ダンディをも担当された隈研吾氏。そのようなことが重なり 英国の歴史、文化・美術を網羅する彼の世界的なミュージアムに組み込まれた日本的茶室(The Oak room)へのオマージュとして、BAM鎌倉内に、当初の予定にはなかった立礼式ティールームを設けることになったそうです。小さな空間ながら、不思議と心が落ち着くから不思議ですね。

▲英国のアンティークの魅力を多くの方へ伝えたいと語る、BAM鎌倉 土橋館長

29年前、とある青年がはじめて訪れた英国でアンティークの魅力に目覚めたことが全ての始まり。以来、英国に出向いてはアンティークの品々を求め、コレクションするようになったそう。古いのにカッコいい英国のアンティークの魅力をより多くの方に伝えたい、若い世代にも繋いでゆきたいという想いを強くし、10年前に抱いた構想から長い準備を経て遂に実現したのがBAM鎌倉。素晴らしい土地との出会いはもちろん、世界的建築家隈研吾氏との出会いも引き寄せる強い想いと実行力が素敵です。

そう、そのとある青年とは、なんと土橋館長ご自身のこと。「BAM鎌倉のコンセプトはOLD & NEW. 古い物はカッコイイ。アンティークは新しい。大量生産品が溢れる現代において、手作りの本物の品々はかえって新鮮に映り、モノを大切にすることを思い出させてくれます。モノを引き継ぐことは、作り手や使い手のヒトも引き継ぐこと。そんな想いを大切にこの鎌倉で英国のアンティークの魅力を伝えてゆきたいです。ぜひ足をお運びください」。

アンティークの世界には、「経年美化」という素敵な言葉があるそうです。時の流れに抗うことはできませんが、モノを使う側である私たちも人として劣化ではなく、美化するように年を重ねてゆきたいものですね。英国のアンティークを間近で見て「OLD & NEW」を体験することができるBAM鎌倉へお出かけください。

取材 ALOHAS
※掲載情報は取材日時点(2022年11月)のものです。