江ノ電沿線に点在する富士山ビュースポットを一挙紹介

富士の頂に煌めくダイヤモンドを探して

江の島・鎌倉エリアから眺める富士山の姿は、当時、江島神社の弁財天信仰のもと大人気だった「江島詣(えのしまもうで)」や北斎のや歌川広重などの浮世絵作家が好んで描いていたことから多くの江戸の庶民に知られていました。

「大海原に浮かぶ江の島、バックに富士山」というロケーションは現在を生きる我々にも大変魅力的であり「湘南」と言えばこれらのアイテムは欠かせないですよね。

特に1年の中でも、4月初旬と9月初旬の数日には江ノ電沿線エリアで富士山の頂上に太陽が沈む「ダイヤモンド富士」を見ることができるチャンスの時期でもあります。

江ノ電に乗ってダイヤモンド探しに行きませんか?

藤沢駅で足を止めて眺める富士山 【JR東日本・小田急電鉄 藤沢駅コンコース】

JR・小田急電鉄藤沢駅から江ノ島電鉄藤沢駅を結ぶコンコースはいつも多くの人が足早に行き交う場所です。
しかし、少し立ち止まって、ふとガラス窓に目をやるとビルの合間から富士山が顔を出しているのがわかります。

日々の忙しさに追われた時には、自分がいる雑踏とは関係なく悠然と聳える富士山を眺めると心がす〜っとします。

人工物に挟まれていても富士山の姿は雄大です!

読んで字の如し 【富士見坂】

藤沢駅から江ノ電で鎌倉方面行きに乗り鵠沼駅で下車すること徒歩20分、
「歩くのはキツいなぁ〜」という方は、同じく藤沢駅から江ノ電バス「片瀬山循環」で「片瀬山中学校前」下車、徒歩約5分の位置に片瀬山の斜面から富士山を眺めるポイント、その名も「富士見坂」があります。

「富士見坂」と呼ばれる坂は他に何箇所もありますが、こちらの富士見坂は富士山が左右に山々を従えるような稜線の大パノラマビューが特徴的なポイントです。
右手に丹沢連峰、中央の富士山の裾野にかかる金時山、左手に目を移すと箱根連峰、その先には伊豆半島の山々、相模湾に浮かぶ烏帽子岩、そして眼下の人々の営みがこれらの自然に包まれていることを感じ取ることができます。

なお、こちらのポイントは住宅街の一角ですので、住民の方々の迷惑とならないよう、心静かに眺めましょう。

富士山を中心にした大パノラマ!

選ばれし者のみが眺められる富士山 【ENOTOKI 屋上テラス 天狼院書店「湘南天狼院」】

プライベートな空間から落ち着いて富士山を眺めたいと思ったことはありませんか?

江ノ電湘南海岸公園駅から歩いて約10分、国道134号線沿いのショッピングモール『ENOTOKI』の屋上テラスは、2Fの天狼院書店「湘南天狼院」書籍を購入するか、店内のカフェメニューをオーダーする方限定でそんな想いを実現できるスペースです。

「湘南天狼院」はテーマを特化したラインナップが揃う他、黒いカバーが掛けられていて内容が全く分からない本を『秘本(ひほん)』として販売したり少し変わった次世代型の書店です。

本の著者やスタッフが企画したセミナーやワークショップも開催するカフェを併設した書店で、特に午前中は、素材に拘ったモーニングメニューも提供されており、カフェで過ごすか屋上テラスで過ごすか悩んでしまいます。

実はこの屋上スペースが江ノ電1日乗車券「のりおりくん」を提示するだけでも(有効日当日)利用できるようになりましたので、こちらからゆったりと富士山を眺めてみませんか?

少し高いポジションから眺めるだけで海や空の広がりをより一層感じます

天狼院で朝食を

見逃すにはもったいないマジックアワー 【江の島シーキャンドル】

江の島の頂上部には「江の島サムエルコッキング苑」が広がっていますが、その苑内にそびえる「江の島シーキャンドル」には晴れた日には多くの方々が夕暮れの光景を眺めるためにお越しになられます。
お越しになられるみなさんは、日没時間までは待っていただけるのですが、多くの方が太陽が山の稜線に隠れてしまうと早々に帰られてしまうのです。
しかし、日没後、暗闇が迫るグラデーションに彩られた空に富士山がシルエットとして浮かぶ姿は、より美しくおすすめです。
慌てて帰ることなく、日没時間前後40分程度の「マジックアワー」と呼ばれる時間をゆっくり堪能しましょう。

闇に空を明け渡す寸前の太陽の光は格別です

もちろん朝方の富士山の姿も綺麗です

見どころ・聞きどころ満載のビューポイント! 【御菓子司 扇屋前】

江ノ島駅から鎌倉方面へ向かう江ノ電は、駅を出発すると隣の腰越駅まで併用軌道と呼ばれる鉄道と自動車共用の区間に差し掛かります。
その併用区間へ差し掛かる先には、以前に江ノ電で活躍していた車両、600形の運転台がお店に食い込んだ姿が珍しく、頻繁にメディアで紹介される人気店「御菓子司 扇屋」があります。
 この「扇屋」さんの前から江ノ島駅方面を振り返ると、ちょうど富士山の頂が顔を覗かせており、富士山を背に堂々と走り抜ける江ノ電の車両たちはとても清々しく見えます。

 ちなみにこちらのポイントは富士山、扇屋という見どころの他にも、昔はどこでも聞くことができた「カン、カン、カ〜ン」という電鈴式の踏切警報音が、江ノ電の姉妹鉄道である嵐電、こと京福電鉄嵐山線西院駅などと並び、現在でも辛うじて聞くことができる貴重なポイントなのです。

「扇屋」さんの名物「江ノ電もなか」を購入した後は、しばし懐かしい音色を聞きながら富士山と江ノ電の勇姿をご覧になってみませんか。

頭〜を、江ノ電の上に出しぃ〜♪

通行している人は運転台には気付いても、軒の上のパンタグラフまではあまり気付きませんよね・・・

ここでしか手に入らない「江ノ電もなか」は、5種類の車両(味)が2両(2個)づつ車庫の形をした箱に入庫しています

海辺を行く江ノ電! 【江ノ島電鉄 稲村ヶ崎駅〜七里ヶ浜駅間】

江ノ電に乗車していると、よく車内に歓声が湧き上がるスポットが2つあります。

ひとつは鎌倉方面行きの腰越駅〜鎌倉高校前駅間、もう一つは藤沢方面行きの稲村ヶ崎駅〜七里ヶ浜駅間です。

どちらの区間に共通するものは、みなさんお分かりですよね。

どちらも視界が一気に広がり、ど〜んと海が目に入ってくるポイントなのですが、特に藤沢方面行きの光景は条件さえ整えば海の先に富士山までも見えるのです。

みなさんが次に江ノ電に乗車される時は、この雄大な富士山の姿に巡り会えますように。

江ノ電の車窓ランキングBest1?

究極の湘南シーン! 【稲村ガ崎】

湘南の光景の三代要素と言えば「海」「江の島」「富士山」と言っても過言ではないと思いますが、こちら稲村ヶ崎には、その全ての要素をバランス良い配置で眺められるポイントで、この光景は古今東西人気で江戸時代の浮世絵でも度々紹介されていますし、近代や現代の歌にも登場します。

昨今、砂鉄が混じって黒い稲村ガ崎の砂浜が海岸侵食によって削られており、以前は七里ガ浜方面まで砂浜が繋がっていたのですが、ここ数年で残念ながら歩いて進むことができなくなってしまいました。

昔から多くの人に愛されたこの景色が未来永劫、同じように眺められるようになってほしいものです。

「The 湘南!!」

ダイヤモンドが煌めく富士山 【材木座海岸】

「ダイヤモンド富士」と呼ばれる現象は、一年に2回、富士山の頂上部に太陽が沈む現象のことで、これまで紹介した富士山ビュースポットで条件さえ整えば眺めることができます。

江ノ電沿線エリアであれば、角度によりますが大体4月3日〜6日頃、9月5〜8日頃になるのですが、この時期は天候が不順であり晴れたとしても霞んでしまうため、なかなかお目にかかることができず、遭遇することは本物のダイヤモンド以上に貴重なものと言っても過言ではありません。

そこで一つ気をつけていただきたきたいのですが、鎌倉では坂ノ下や由比ガ浜海岸と呼ばれる西側のエリアでは、富士山が山に隠れて眺めることができません。
そこで、材木座海岸と呼ばれる東側のエリアに進んでいただくと富士山の姿を見ることができますのでご注意ください。

今年の春・秋はにダイヤモンドを採掘することができるでしょうか?

ダイヤモンドより貴重なダイヤモンド⁉️

※掲載情報は2022年2月取材日時点のものです。
取材・文・撮影 岡林渉