今が旬!鎌倉の紅葉

e-bike KUROADでいく奥鎌倉「冬紅葉」サイクリングルート

【鎌倉駅(KUROAD専用ステーション)】いざ、出発!

鎌倉の紅葉は海に面した温暖な気候から「冬紅葉(ふゆもみじ)とも呼ばれており11月下旬〜12月上旬がピークで、場所によっては年明けまで鑑賞できます。
今回はe-bike「KUROAD」を利用して、紅葉の名所が散在する「奥鎌倉」を散策しましょう。

e-bike「KUROAD」の利用の仕方は既に「シェアサイクルサービスでいく江の島・鎌倉王道サイクリング」で紹介させていただいていますのでご参照ください。

今回は鎌倉駅西口から御成通りを進み、左折した場所にある鎌倉駅(KUROAD専用ステーション)でe-bikeをピックアップします。
事前に「HELLO CYCLING」のアプリで予約した後に通知される車体番号とパスワードを入力していざ出発です。

▲パスワードを入力すると開錠され、いざ出発です!

【cafe Kaeru】奥鎌倉の癒し空間でランチを。

自動車が頻繁に行き来する金沢街道を外れ、少し進むと閑静な住宅街の中に「cafe Kaeru」は位置しています。

▲cafe kaeru に到着!

イングリッシュガーデンテイストの中庭を進み、店内に入ると手前はサンルーム、奥は木やレンガを使用した壁となっており、天窓から光が降り注ぐ空間は中庭の一部のように溶け込んでいます。

テーブルや本棚にはイマジネーションを掻き立ててくれるアート系の書籍や雑誌が並んでおり、目を通しているとだんだんと心が豊かになってくるのがわかるのではないでしょうか。

▲癒しの空間が広がります。

店内に掲げられた黒板にはドリンクやスイーツ以外にも、美味しそうなフードメニューがいくつも書かれており、オーダーに悩んでしまいます。

その中でもオススメは、カラフルな野菜が食欲を掻き立てる「季節野菜のどんぶり」や、大きなほくほくポテトとサクサクな歯応えの生地のコンビネーションが堪らない「焼きたてミートパイ」です。

くつろぎの空間と美味しい食事でこのまま動きたくなくなってしまいますが、紅葉が待っていますので先に進みましょう。

▲パイもポテトもボリューム満点の「焼きたてミートパイ」

【一条恵観山荘】目も心も、そしてお腹も満たされる庭園へ

続いて一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)へ。

最初に一条恵観山荘の門前にある駐輪場にe-bikeを停めたら受付に向かいましょう。
門を入ると楓も見事に紅葉しており、期待感を高めてくれます。

▲門前では立派な枝ぶりの楓がお出迎え。

一条恵観山荘はもともと、江戸時代初期に京都西賀茂に造営されたられた一条家別邸の離れでしたが、昭和34年にこちらへ移築されました。
移築前と同様の東西南北の方向に建てられた山荘は、四季折々に庭園へ差し込む光の位置まで意識されたもので、野趣溢れる空間をこの鎌倉でも忠実に再現しています。

▲野趣溢れる茅葺き屋根の山荘と楓

庭園を散策すると、随所にハート形のデザインを見かけます。「なぜ、日本庭園にハートなの?」と思われる方も多いかもしれません。
このデザインはトランプなどに描かれるハートではなく、「猪の目(ゐのめ)」です。
この「猪の目」には魔除けの効果があるとされ、寺社の建材などでも多く使用される日本古来から引き継がれるデザインなのです。
こちらの庭園内にはフォトスポットがいくつもあるので探し出してみませんか。

▲落ち葉が♡形に集められていました

庭園を一周した後は「かふぇ楊梅亭(やまももてい)」で甘味をいただきながら一息つきましょう。
なぜ店名が「やまもも」なのか伺ったところ、山荘の主、一条恵観のお母様が「やまももの実」を好まれていたことに因んで名付けられたそうです。
なお「やまもも(山桃)」を中国では「楊梅」と表記します。

▲ガラス越しに広がる光景

「かふぇ楊梅亭」では、季節ごとの菓子を添えたお抹茶や、白玉あんみつなどレギュラーのメニューに加え、季節限定メニューも用意されています。
室内から眺める一幅の襖絵のように縁取られた庭園の美しさに、思わずため息が漏れてしまいます。

▲甘味と庭園の美しきコラボレーション

紅葉シーズンは日によって冷え込んだり、雨の日もあります。
そんな時は体も心もポカポカに温まる季節・数量限定の「白玉ぜんざい」がオススメです。
北海道産の小豆を使用し、甘さもあっさりしていて美味しいですよ。

▲美しい光景を前に、ぜんざいを頂く手も止まりがち・・・。

【紅葉ヶ谷】を往く

鎌倉は三方を山に囲まれていますが、その山にはいくつもの切り込んだような谷があり、「谷戸(やと・やつ)」と呼ばれています。
大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」の放送で注目されるようになった頼朝建立の永福寺跡を横目に右手に進んだ谷戸は「紅葉ヶ谷」と名付けられるほどの紅葉が美しいエリアです。

【瑞泉寺】水戸黄門も眺めた鎌倉らしい庭園を。

紅葉ヶ谷の谷戸を走り続けると、最奥部の瑞泉寺に到着します。
拝観料をお支払いすると、右奥の駐輪スペースをご案内いただけますので、こちらでe-bikeを降りましょう。

早春には美しく咲き誇る梅林を横にしたあと、階段を登り山門に向かいましょう。
登りきった場所にある楓の木は山門を包むほど高くまで生い茂り、紅葉がアーチのようにして我々を招き入れてくれます。
境内本堂の裏手の山も紅葉に彩られており、「紅葉ヶ谷」と名付けられただけあって立派な紅葉が谷戸を包みます。

▲紅葉の華やかさ中にも、凛とした空気を感じる境内。

京都の天龍寺庭園、西芳寺庭園(苔庭)の作庭も行ったことで知られる禅僧、夢窓疎石によって鎌倉時代末期に作られました。
こちらにも大きな楓の木があり、岩盤を削って造られた岩庭に紅の色を添えています。

夢窓疎石による禅の世界

【覚園寺】谷戸の闇に広がる幽玄の世界

▲e-bikeを門脇の駐輪場へ

日没が近づいたら、ライトを点灯して薬師堂ヶ谷へ向いましょう。

今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公、北条義時公の薬師如来信仰により建てられた大倉薬師堂に由来を持つ覚園寺では、2022年11月20日(日)~12月10日(土)まで参拝時間を「9時~19時」まで延長し、日没後にはライトアップを行っています。

▲闇と紅葉に包まれた愛染堂 

紅に彩られた境内が暗闇に溶けゆく様は、あまりの美しさに言葉を失う幽玄の世界です。薬師さまたちの仏力を昼間以上に感じる空間でしっかりお詣りしましょう。

なお、鎌倉に宿泊された方は宿泊ホテル経由で御連絡いただくと、早朝の開門時間前(7時~)に、可能な限り受け入れていただけるようですので宿泊施設へご相談してみてはいかがですか。

拝観後は夜道となりますので特に道路脇の側溝に気を付けながら安全運転で走行しましょう。
鎌倉駅脇などのKUROAD専用ステーションへ返却すれば、今回のサイクリングコースは終了です。お疲れ様でした!

▲大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で話題の戌神将さまが我々をお出迎えされています。

▲ 境内には篝火が焚かれており幽玄の世界が広がります。

※掲載情報は2022年11月取材日時点のものです。
取材・文 岡林渉