潮風薫る腰越で魚料理が美味しいと評判のお店が【鎌倉 波平】です。店頭前の道路には単線の線路が敷設してあり、江ノ電が7分ごとに通過してゆきます。「腰越駅」から「江ノ島駅」の間は、江ノ電が路面電車のように走る「併用軌道」区間にあたります。暖簾をくぐってお店に入りましょう。
3分歩けば腰越海岸という、腰越のメイン通り沿いに2015年に開店。開店から間もなく10年を迎える【鎌倉 波平】は、魚料理が旨い店として、地域のお客さんからも支持を集めています。江ノ電「腰越駅」から徒歩3分と、アクセスもよく使い勝手のよいお店です。
店主の波木井さんは波乗りも楽しまれる料理人。このお店をオープンさせるまでは、料理の仕事と魚の仲買人の仕事を続けてきたキャリアの持ち主。自身のお店を持った現在も、石川県輪島市の袖ヶ浜に拠点を設け、魚類をはじめ北陸の食材を仕入れて、お店で提供しています。
新鮮なお刺身と炊き立ての白ご飯。具材たっぷりのお味噌汁にお漬物。さらに野菜の天ぷらとサラダや小鉢まで。ミニ漬け丼もサービスで付く日もあるそうで、何とも豪勢な定食です。店内を見渡すと女性のお客様が多く、皆さんゆっくりと新鮮な魚を堪能し、食事を楽しんでいる様子がうかがえます。
この日のお刺身のメインはカマス。冬のカマスはふっくらとした身と旨味が濃いのが特徴。皮目を炙ってあるから食感も楽しむことができます。他にはマグロ、ブリ、サーモン、カツオなど。メインが鯵になる日も多いそうですが、7-8種程度のお刺身の盛り合わせになるそうです。
ツヤツヤ熱々の白米は、石川県金沢産。白ご飯が、脂ののったお刺身によく合います。お味噌汁も具沢山で、まるで副菜のようです。カラッと揚がった野菜の天ぷらも食べ応えがあります。
「柚子生しらす丼」も、お店の看板メニュー。キラキラと輝く生シラス。ぷりっぷりの食感を楽しみながら味わってみると、柚子の香りがあり、ほのかな塩味も。お醤油要らずで、酢飯にもよく合います。この「柚子生しらす」は波平独自の製法で作られており、一年を通じて提供しているとのこと。
鎌倉のシラス漁には禁漁期間(1月~3月上旬)があり、漁期中も天候不順や不漁の日もありますので、毎日水揚げされることはありません。
「せっかくなら新鮮な生のシラスを、いつでも食べてもらえるように出来ないだろうか」と、考えた店主の波木井さん。仲買人時代から取り組んでいた魚の鮮度を長期化させる技術を活かすことを思い付きます。近隣の漁港をはじめ、茨城県などの漁師さんとも連携し試行錯誤を繰り返した末に、水揚げされたばかりの新鮮なシラスのpH(水素イオン濃度)を調整し冷凍することで、解凍後も風味や食感が変わらない生シラスの保存に成功。21年春からお店のメニューに加え、販売を開始しました。
シラスの禁漁期間や天候不順の日でも、【鎌倉 波平】では「柚子生しらす」をいただくことができるようになり、一年を通して美味しい生シラスを食べることができる希少なお店としても支持されています。
しっかりと厚みのある新鮮な鯵を揚げたてでいただきましょう。「このアジフライを食べるために来店されるリーピーターさんも多いです。鮮度のよい鯵を下ろした後、能登産のいしり醤油(イカで作る魚醤)で下味をつけて揚げています」と、波木井さん。
熱々を頬張ると「イカの風味は日本人の味覚に合っていると思いますよ」という言葉通り、鯵そのものの旨味を引き出す「いしり醤油」の見事な仕事が実感できます。カラッと揚がった衣に包まれたフワっとした身の食感も絶妙な波平のアジフライ、これはお刺身やシラスに追加していただきたい一品です。
お昼は定食をメインに営業されていますが、夜は魚料理をはじめ自家製の練り物も入る「おでん」や一品料理もメニューに並び、お酒と食事を楽しむこともできます(平日の夜は要予約)。
料理人としての技術と魚の仲買人としての目利きという二つの経験が、【鎌倉 波平】で提供するお皿にしっかりと現れているようです。能登半島地震が起こる前から能登に拠点を設け、現地の水産物や農産物をお店で使い続けている波木井さん。震災直後は入手が難しくなっていたそうですが、徐々に水産物をはじめとした食材を能登や石川などの北陸産に戻しているそうです。
波木井さんが作る魚料理を楽しむことは、能登の漁師さんや生産者さんを食べて応援にも!震災復興支援にもつながる美味しい魚料理をお楽しみに、【鎌倉 波平】へ出かけてみてはいかがでしょうか。
取材 ALOHAS
※掲載情報は2024年11月取材時点のものです。
※掲載している情報が変更になっている可能性がございますので、公式サイト等で最新の情報をご確認ください。