
▲上から見るとひょうたん型の形をした江の島。そのくびれ部分で鞍部となる「山二つ」を経て、江島神社奥津宮方面へ進みます
▲上から見るとひょうたん型の形をした江の島。そのくびれ部分で鞍部となる「山二つ」を経て、江島神社奥津宮方面へ進みます
三姉妹の女神様が祀られており、江島弁財天として信仰を集めてきた江島神社は、3つのお社が江の島島内にあります。その最も奥にあるのが奥津宮で、さらに先に進み階段を下りてゆくと、江島神社の起源の地、もともとは岩屋本宮とも言われた岩屋があります。
▲江の島最奥の岩屋へ至る階段の途中にある【見晴亭】。天候が良い日には店頭から富士山を望むことも
岩屋を訪れる人々がひっきりなしに往来するこの場所で、大正時代初期から営業を続けるのが見晴亭です。現在では、見晴亭より先にごはんを食べれられるお店はないため、江の島の最奥、最南西端にある食堂となります。店先の階段を下りてすぐの場所が、稚児ヶ淵となっており、海を間近に感じることができる、格別のロケーションです。
▲開店時間の11時を過ぎると、続々とお客さんが来店しお昼ご飯や軽食を楽しみます
テーブル席と小上がりの席があり、どの席からも海が視界に入ります。昭和を感じさせる素朴でノスタルジック感が漂う内装が、かえって新鮮で気持ちが寛ぎます。客席は少なくありませんが、お昼の時間帯以降は、入店待ちとなることも多いそう。お昼ごはん目当てなら、正午前に到着するのが良さそうです。
▲見下ろすのではなく、水平方向に広がる相模湾の眺め。江の島の中でも希少です
▲「さざえのつぼ焼き」用に新鮮なさざえの身を丁寧に下ろして、下ごしらえをする様子
現在お店を切り盛りするのは、3代目となる二見さんご夫婦。ご家族を中心に、この場所で100年超もの間、ご商売を守り続けています。自動車はもちろんのこと自転車もアクセスできないこの場所ゆえ、材料や資材の仕入れや買い出しも大変のようですが、70歳の店主自らカゴを背負って、日々必要な野菜などを歩いて運んでいるのだとか。
太平洋に面した自然環境の厳しい場所での商いと生活を守り続けてきた二見さんご夫婦の「まじめ」さが、清潔感ただようお店のたたずまいに現れているようです。
▲絶妙な火入れ加減で、身も柔らかく食べやすいさざえ。醤油ベースのだし汁も美味で、身と一緒に味わうと磯の風味がお口いっぱいに広がります
せっかく江の島で食事を楽しむなら、海の幸をいただきましょう。さざえのつぼ焼きは、お刺身たっぷり「江の島定食(週末限定)」やおでんがメインの「見晴定食」など一部メニューにも含まれますが、単品でもオーダーすることができます。窓越しに海を見ながら、さざえを肴にビールを嗜むのもいいですね。なんとも贅沢な時間になりそうです。
▲たっぷりの釜揚げしらすといくらがのった「二色丼(お味噌汁とお漬物つき)」は、定番人気の一品
ごはんものは、定食と丼ものを提供しています。お刺身系のメニューはおもに土日限定とのことですが、釜揚げしらすは毎日提供しています。写真の二色丼をはじめ、シンプルな「釜揚げしらす丼」、そのしらすを卵でとじた「しらす卵とじ丼」、さらに巻貝としらすを卵でとじた「江の島丼」とバラエティーも豊か。他にもかつ丼などいわゆる食堂の定番メニューもありますが、家庭的な豚肉をつかった「カレーライス」も隠れた人気メニューとのこと。
(生しらすは、禁漁期間外で入荷時のみ提供しています。)
▲海を眺めながらいただくラーメン。昔ながらの味わいが嬉しいです
麺類も用意されています。シンプルなラーメンはお子さまにも人気の一品とのこと。ほうれん草やナルト、メンマという定番の具材に、鎌倉の老舗肉店のチャーシューが華を添えます。寒い季節だけでなく、暑い季節に食すラーメンの美味しいこと。しかもこの海を見ながらの一杯は特別な思い出になりそうです。
▲窓から見下ろせば、稚児ヶ淵の地表の様子がわかるほどの近さ。富士山をはじめ、烏帽子岩や伊豆半島方面を見渡すことができます
2023年に放送された江の島が舞台となったテレビドラマでは、見晴亭でも撮影が行われ、現在も聖地として多くのファンが訪れているとのこと。最近は外国人のお客さまも多いそうですが、しらすをはじめお刺身なども日本の昔ながらの食文化を楽しんでいるそうです。
▲昼間はもちろんのこと、夕景の美しさは言わずもがな。食事に限らず、午後の喫茶や軽食の利用もお薦めです
食事メニューは営業時間中でもごはんや材料がなくなり次第終了とのこと。ケーキや和菓子のセットなど喫茶メニューも提供していますので、休憩処としても利用できます。江の島島内でも、これほどの景色を楽しめるお店は多くはありません。島内最奥にある食堂で、絶景と一緒に、海の幸や家庭的な懐かしい味付けの料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。
取材 ALOHAS
※掲載情報は2025年6月取材時点のものです。
※掲載している情報が変更になっている可能性がございますので、公式サイト等で最新の情報をご確認ください。