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▲焼き立てのバゲットをはじめ食パンなどの食事パンの種類も充実しています
# Welcome! New Faces, New Shops 21
2024年4月から12月にかけて鎌倉周辺に開店したお店から3店舗をご紹介します。毎日40種類もの焼き立てが並ぶパン屋さん、珍しい薪火調理のグルメなハンバーガー屋さん、そして日本のワインを常時100種販売し、その場で飲むこともできるワイン屋さんです。個性的なお店は、美味しいだけはない、通いたくなる理由、それぞれ独自のカルチャーがあるようです。江ノ島・鎌倉エリアへ散策でお越しの際にぜひお立ち寄りください。
▲焼き立てのバゲットをはじめ食パンなどの食事パンの種類も充実しています
新旧問わず多くのベーカリーが軒を連ねる鎌倉には、地元のパン好きだけでなく、遠方からもパン屋さん巡りを目的に訪れる方が増えています。そんな鎌倉にオープンしたのが「製パン雅(みやび)」です。昨夏までは、名古屋市千種区にて営業されていましたが、2024年11月に鎌倉へ移転し、新規オープンされました。開店から数か月にもかかわらず、バラエティー豊富なラインアップと味わいが早くも評判となり、朝9時半の開店とともにたくさんのお客さまが続々と訪れています。
▲ショーケースには総菜系やスイーツ系など様々な種類のパンが整列し、横のカウンターには食パンが置かれています。広々とした奥の工房の様子も見ることができます
由比ヶ浜駅から歩いて4分ほど、由比ガ浜通沿いに新しくできたお店です。開店の朝9時半には多くのパンが店頭に並びます。商品のラインアップは、食事系(食パン、トースト、クロワッサン、全粒粉パン、田舎パン、フォカッチャ他)、スイーツ系(デニッシュ、ドーナッツ、チョコパン、あんぱん他)、惣菜系と多種多様で、選ぶのに迷うほどです。
食事系パンを中心に全体の7割ほどは、湯種(ゆだね)製法で作っているとのこと。熱湯で湯種を起こし、仕込みから焼き上げまで3日間かけることで小麦本来の滋味深い美味しさを引き出しているそうです。
▲オーナーシェフの雅人さんと奥様の英理さん
オープンから数か月ながら、早くも鎌倉のパン愛好家の間で話題となり、ファンも増えつつあるようです。
「強い個性を持ち合わせたパン屋ではありません。老若男女、気軽にお立ち寄りいただける町の美味しいパン屋、地域に根付いた地元密着のパン屋でありたいです」と語る雅人さん。
長谷や由比ガ浜周辺の散策の折には、しっかりした技術とセンスに裏打ちされた「製パン雅」のパンをお買い求めになってみてはいかがでしょうか。
製パン雅
住所 〒248-0016 鎌倉市長谷1-1-10
TEL 0467-73-9130
アクセス 江ノ電「由比ヶ浜駅」から徒歩4分
営業時間 9:30-17:00
定休日 毎週月曜、火曜、第1・3・5水曜 ※最新情報は公式インスタグラムでご確認ください。
※掲載情報は取材日時点(2025年2月)のものです。
▲鎌倉駅から御成通り経由で徒歩約8分、江ノ電和田塚駅からは徒歩3分ほど。由比ガ浜通りの六地蔵の隣に出来た新しいお店です
小町通り側とは反対側、通称裏駅と呼ばれる鎌倉駅西口から御成通りを抜け、突き当りを右折、長谷方面へ。地元のお客さま向けの商店が並ぶ由比ガ浜通りの中心部、六地蔵にオープンしたのが「なぎさのハンバーガー」です。今小路で2019年から営業される薪火料理「季音 -Kinon-」のオーナーシェフ、村野さんが新たに始めたお店です。
▲薪火の上で焼きあげられるパティやチキン。バンズも薪火で熱を加えてトーストされます
昼夜問わず薪火で調理されるオリジナルレシピのハンバーガーをいただくことができます。薪火料理とは、焚き火のように、乾燥された生木を燃やしながら調理する料理法。燃焼する木が発する香と煙が素材を燻しながら、素材に熱が通ってゆくのが特徴とのこと。ワイルドなイメージとは裏腹に、繊細な味わいを引き出せる調理法でもあるそうです。
ハンバーガーの主役となるパティは、鎌倉肉の石川御成本店から仕入れる新鮮な国産牛赤身肉と豚肉を合挽で使用。牛肉100%をはじめ、牛豚合挽の比率をいくつも試した結果、肉の旨味がしっかりと感じられつつと脂感が重くなり過ぎない絶妙な合挽比率に辿り着いたとのこと。新鮮な肉を味わっていただくために、薪火で、ほどよくレア気味に焼きあげて提供されています。
▲昼夜ともに一番人気という「クラシックバーガー」 (右)とヘルシーと風味で支持される総州古白(こはく)鶏ムネ肉の「薪火テリヤキチキンバーガー」(左)
バンズは鎌倉駅前の「BREAD IT BE」に焼いてもらう別注品。全粒粉らしい香りがただよい、ほどよい弾力が食欲をそそります。自家製のガーリックマヨネーズとスモークドケチャップもパティとバンズの味わいに奥深さを与えてくれます。
まるでBBQのような野趣に富む薪火料理ながら、ハンバーガー全体の繊細な味わいに驚きます。パティにのる「チミチュリソース」のスパイスとハーブがつくりだす酸味がバンズにも馴染み、いつまでも食べ続けてたくなるほど。自家製のガーリックマヨネーズとスモークドケチャップもパティとバンズの味わいに奥深さを与えてくれます。
さすが星の付く世界の有名店を渡り歩いた村野シェフ渾身のハンバーガーであることが分かります。 ディナータイムは、ハンバーガー以外にも薪火料理をアラカルトで楽しむことも。ワインリストも充実していますので、薪火の炎がゆらめく店内で、実力派シェフ監修のハンバーガーやカジュアルな薪火料理を味わってみてはいかがでしょうか。
なぎさのハンバーガー
住所 〒248-0014 鎌倉市由比ヶ浜1-3-10 1F
TEL 050-5595-4798
アクセス 江ノ電「鎌倉駅」から徒歩8分、江ノ電「和田塚駅」から徒歩3分
営業時間 11:30-15:00(L.O.14:30)、17:30-21:00(L.O.20:30)
定休日 なし
※掲載情報は取材日時点(2025年2月)のものです。
▲冷蔵ショーケースにはずらり100種以上の国産ワインが並んでいます。日本ワイン店じゃんの社長を務める曜子さんも日ごろから店頭に
若宮大路(わかみやおおじ)と下馬で交差し、鎌倉と藤沢・逗子とを東西にむすぶ大町大路(おおまちおおじ)沿いに、2024年4月にオープンしたのが「日本ワイン店じゃん」です。鎌倉駅東口から大町四つ角交差点方面へ向かい、輸入生地や洋裁手芸用品の人気店「鎌倉スワニー」を越えた先、鎌倉駅から歩いて7分ほどで到着します。
7坪ほどの店内に入ると、左手には、ワインボトルがぎっしりと並ぶ冷蔵庫が一面に。中央には一枚板のテーブル、そして右手奥には調理スペースが設けられています。
▲佳祐さん(左)とスタッフのりょうたさん(右)。ご夫妻をはじめワインと料理に詳しいスタッフさんで営業されています
お店をはじめたのは、佳祐さん・曜子さんご夫婦。もともと同じ企業に勤めていたお二人ですが、先に曜子さんが退職し、ワイン販売のために法人を設立します。その後、なんとご主人の佳祐さんも会社勤めを辞めて、お二人で日本のワインやワインにあう食品類の販売に取り組むことに。2022年のご自宅の一角ではじめたワイン販売からスタートし、約1年間の酒場での間借り営業を経て、「日本ワイン店じゃん」を大町に開店しました。
ご家族でキャンプに出かけた先で、買い出しに立ち寄ったスーパーのワイン売り場で国産ワインと出会い、甲州や信州産の土地のワインの奥深さに開眼。味わいだけでなく、ぶどう栽培や醸造の奥深さも含めた日本のワイン文化をより多くの人に知って欲しいと、二人で起業することに。
日本の気候風土を反映させた個性豊かなワインの実力を味わう場所として、「ワインの良さを知っていただくために、どうしても角打ちが必要だったんです」と、佳祐さん。念願の角打ちも併設したお店は、開店から半年以上が経過し、リピーターのお客さまも増えているそうです。
▲多くのお客さまがオーダーされるという前菜の盛り合わせ(お二人分)とこの日のワインリストにあった山梨県イケダワイナリーの白と宮崎県都農ワインのロゼ
じゃんの角打ちは、いわゆる角打ちの先入観を覆すような驚きが沢山あります。まず、中央のテーブルを囲むようにスツールがあり、角打ちながら着席して飲食することができます。席に着くと、さながらワイン好きな友人宅のキッチンダイニングで、食卓を囲んでいるような不思議な気分に。メニューが書かれた黒板には、グラス単位でいただくことができるワインリストと合わせて、肉・魚・チーズ・〆もの・・と30種類ほどのメニューが並んでいます。 例えば、この日の前菜の盛り合わせには、手の込んだ6品が並びます。角打ちなのに、丁寧に調理された料理のクオリティーは高く、角打ちの肴の域を超えた味を提供しています。
グラス単位でオーダーできるワインの銘柄は毎日10種類程度。いずれもワイナリーへ実際に足を運び、醸造家やワインメーカーの代表とお会いし、製造現場や工場を確認しながら、味わいも含めて厳選したものばかり。ショーケースに並ぶボトルを選んで、抜栓し、店内でいただくこともできます(ワインのボトル販売価格+抜栓料)。
「日本各地で栽培されたぶどうを使って醸造された日本のワインを販売して、産地やワインメーカーとお客さまの繋がりを育むこと。お客さまの感動を生産者に戻し、循環させること」を大切にしているという曜子さん。歴史ある大町大路で、角打ちの域を超えた手作り料理と日本のワインを味わってみてはいかがでしょうか。
日本ワイン店 じゃん
住所 〒248-0007 鎌倉市大町2丁目1-10 宮内ビル 1階
TEL 0467-37-3138
アクセス 「鎌倉駅」東口から徒歩7分
営業時間 14:00-21:00
角打ち 平日16:00-21:00(L.O.20:00)、土日祝日14:00-21:00(L.O.20:00)
定休日 月曜
※掲載情報は取材日時点(2025年2月)のものです。