60年に一度の祭礼

洪鐘弁天大祭~おおがねべんてんたいさい~

鎌倉に、60年に一度のお祭りがあることをご存じでしょうか?

60年に一度と開催されるお祭りは、北鎌倉の鎌倉5山の一つ円覚寺の鐘と、江の島から円覚寺に勧請されたと伝わる弁財天(宇賀神)の祭礼です。
その名も「洪鐘弁天大祭~おおがねべんてんたいさい~」。
2023年9月に、120年ぶりとなる円覚寺と江島神社の合同例祭も開催されました。
(江ノ島電鉄は江の島への参拝のために作られた鉄道でもあり、2022年に120周年となっております)

この記事では祭礼の概要をご紹介!
お祭りが開催されるのはめったにない機会となりますので、ご紹介させていただきます。

洪鐘弁天大祭とは

「洪鐘」とはおおがね、と読み、その名の通り、お寺にある鐘になります。
円覚寺の成り立ちは、鎌倉幕府8代執権北条時宗が蒙古襲来(元寇)で犠牲となった人々を、敵味方関わらず弔うために建立されたという経緯があります。父の遺志を引き継ぎ、9代執権北条貞時が円覚寺に寄進したものが、「洪鐘」となります。
現在では「洪鐘」は国宝となっており、700年以上もその音を国家安寧の祈りのために鳴らしてきました。
この洪鐘が完成する際の逸話には、江の島の弁財天の伝説が残っており、60年に一度の「洪鐘弁天大祭」、通称洪鐘祭は、洪鐘の完成のお礼として、盛大にお祭りが行われたのが起源とも言われています。

洪鐘弁天大祭は、北鎌倉の円覚寺のある山ノ内地区の方々が中心となり行われていますが、円覚寺と江島神社のほかに、山ノ内の鎮守であった八雲神社や建長寺、鶴岡八幡宮、長谷の御霊神社など、鎌倉の中でも古い寺社仏閣が関わりあう盛大なお祭りであったようです。
このお祭りの行列に入る、山ノ内の面掛行列の面は、長谷の御霊神社の面を模したとされ、江戸時代のものが山ノ内の八雲神社に伝わります。現在、面掛行列は鎌倉の奇祭として、長谷の御霊神社で毎年執り行われております。
この面掛行列の起源は、鶴岡八幡宮の例祭の行列に由来するということですから、様々なものが繋がって、現代に受け継がれているということが想像されます。

次の60年後に受け継ぐためにも、2023年10月29日に洪鐘弁天大祭の開催が決定しており、令和の洪鐘祭を実施されるということです。
令和ならではですが、お祭りの様子はネット配信される予定です。

円覚寺の「洪鐘(おおがね)」

お祭りの主役となる北鎌倉の円覚寺の国宝・洪鐘。
洪鐘とは梵鐘で、お寺にある大きな鐘となります。建長寺、常楽寺の梵鐘とともに、鎌倉三大名鐘のひとつとなります。
その大きさは、259.5cmあり、700年以上も、国家安寧を祈る鐘の音を鳴らしてきている国宝です。

この洪鐘(おおがね)は、鎌倉幕府、9代執権北条貞時公が鋳造させようとしましたが、うまくいかずに2度失敗。円覚寺の住職の教えから、北条貞時が、江の島の弁財天に参籠(さんろう:こもること)し、7日7夜目に夢で啓示を受け、鐘の鋳造に成功します。
その際、江島神社の弁財天が夢に立ち、夢の通りに池の地底を探すと龍頭型の金銅を発見し、その金銅を使ったところ、鋳造に成功したという伝承が残っているそうです。


夫婦の弁財天

鐘が完成した後、この完成を祝い、江島神社から人頭蛇身の弁財天を円覚寺に勧請し、洪鐘(おおがね)の本当の姿、真体として円覚寺の弁天堂に安置しました。円覚寺の弁財天は、「洪鐘大弁才功徳尊天」といい、宇賀神と習合した弁財天となります。
そのため、江の島の裸弁財天と、円覚寺の弁財天(宇賀神)は夫婦弁天と呼ばれ、洪鐘祭で60年に一度出会います。

パレード

洪鐘祭は、江戸時代の記録にある絵巻でも、明治時代の記録にある絵巻でも、長いパレードを行っており、たくさんの人々が参加している様子が見て取れます。
神仏融合でもあり、地元の方々の参加もあり、東京の芸者さんなども参加しており、いろいろな垣根を超えたお祭りであることを感じる絵巻です。


江戸時代、明治時代、昭和に実施された祭りの記録をもとに、令和の時代に合ったパレードを計画しているそうです。

パレードは、車に乗って祭りに2回体験者した幸運な方や、江島神社の唐人囃子、山ノ内の面掛祭りの行列が入ったりと、様々な人々が列をなして、パレードしている様子が記録で伝わっています。


祭礼のパレードは、寺社、地元の人々の協力も相まって、開催されます。
さまざまな垣根を越えて、一丸となって作り上げていく祭礼であることを感じ、円覚寺の成り立ちでもある、敵味方関係なく平和を祈念するという目的を再確認し、令和の洪鐘祭も、鎌倉の町の様々な関係者が協力して、経験したことのない貴重なお祭りを次へつないでいくためにも実施されます。

昭和40年から65年後に実施される令和の洪鐘祭。世の中は大きく激変しました。
この貴重な祭礼が実施され、記録され、次は60年後となります。
60年後に想いをはせるといったいどんな世になっているのでしょうか。

※鎌倉歴史文化交流館にて、洪鐘祭の特集展示【後期】を2023年9月25日~10月31日まで開催。ぜひ足をお運びください。

※ 洪鐘祭は、円覚寺門前町である鎌倉市山ノ内とその周辺在住の方々を対象に企画されております。
今回のお祭りは60年に一度ということもあり、北鎌倉駅は6月の紫陽花観光の人出を上回ることが想定されます。そのため駅から出るまでに相当の時間が必要になるものと考えられます。またパレードを予定しているエリアも道幅が狭く、立ち止まることも困難な状況です。
このような状況が想定されるため、警備の指示に従いお祭りを見学される方はパレードや他の通行人の妨げにならないよう、ご配慮のほどお願いいたします。
またネット配信の検討もしておりますので、ご自宅等から安全にご観覧いただくこともご検討ください。

【洪鐘祭ネット配信ページはこちら】

明治時代の洪鐘祭の絵巻(円覚寺蔵)@鎌倉歴史文化交流館での期間限定特別展示の一部 絵巻の画像は神奈川県立歴史博物館撮影

令和の洪鐘祭をネット配信でみよう

概要

※掲載している情報が変更になっている可能性がございますので、公式サイト等で最新の情報をご確認ください。

開催日
2023年10月29日(日)
開催時間
9:30~13:00
開催場所
北鎌倉駅
建長寺~小袋谷交差点~円覚寺