江ノ電稲村ヶ崎駅から極楽寺方面へ、左に入る坂道を少し上ると見えてくるクラシカルな洋館がLaîné(レネ)。お店を切り盛りするのはフランス北西部ノルマンディー地方出身のシェフ、レネ・アントニーさんと生まれも育ちも鎌倉のパティシエ伊純さんご夫妻。伝統的なフランス料理をベースに地産地消の食材、旬の素材を活かした料理が人気のお店です。
Laînéの始まりは2003年、パリでのアントニーさんと伊純さんの運命的な巡り会いまで遡ります。学生時代に栄養士の資格を取得し、将来は「食」関係の仕事につくのが夢だった伊純さん。短大卒業後は一般企業に勤めていましたが、ずっと抱いていた夢を諦めきれず、5年間勤めた会社を退職し、料理の勉強のため渡仏。
料理学校に通いながら、ケーキ店やレストランでアルバイトをする日々。その中で、伊純さんはアントニーさんが働くパリの有名レストランに勤めることに。「初めて会った瞬間、ニコッと笑ってくれて。その笑顔は今も写真のように鮮明に覚えています。」と伊純さん。二人は出会って2年後の2005年に結婚。2007年には日本へ移住し、2010年に念願のレストランを鎌倉雪ノ下に開店。
フランス人シェフによる本格的フレンチは徐々に評判を呼び、2015年には鎌倉駅近くの御成通りに場所を移し、人気のレストランとなりました。その後、コロナ禍の影響でウェディングなどのケータリング需要が減少したことを契機に、2021年に御成通り店をクローズして次のステージを目指すことを決意。2022年11月に稲村ガ崎に再移転し、リニューアルオープンされました。
新店舗は稲村ヶ崎駅から歩いて5分ほど。森の一角に佇む築90年超の洋館を3か月かけてリノベーション。料理に留まらないお二人のセンスを活かし、まるでフランスの別荘のような素敵な一軒家レストランに生まれ変わりました。お客様への丁寧なおもてなしを心がけたいということで、Laînéの営業日は金、土、日及び祝日のみ、昼夜ともに3組までの完全予約制となっています。
(レストランは建物オーナー様の自宅敷地内にあります。ご予約時以外での敷地内への立ち寄りはご遠慮ください。)
一皿目のアミューズからシェフの感性で盛り合わされた小さな「口福」たちが並び、味覚だけでなく視覚からも食欲を刺激されます。
Laînéの料理は完全予約制でコースメニューのみ。「昼の軽めのコース」はアミューズ、前菜2品、メイン1品(肉または魚)、デザートの5品(7,800円)で、その他に昼夜共通でメインが肉と魚の2品となるコース(10,500円、15,000円、25,000円)があります。※価格は季節や食材により変わります。
「2000年に渡仏、2005年に結婚し、2010年に鎌倉雪ノ下でレストランをオープン。2015年には御成通りに移転というように、5年ごとに変化の節目が来るんです。」そして、コロナ禍に見舞われた期間は「失われた時間ではなく、自分たちの仕事を考え直す良い機会となりました。」と伊純さん。
今回のリニューアルオープンまでの準備期間中に、お二人は生産者や新しい素材との出会いと学びを求めて日本各地を巡ったそうです。「富山湾で白エビ漁の船に乗り、信州ではきのこや山菜について学び、千葉の農家で米作り体験をしました。これからも、(産地や生産者を巡る旅は)まだまだ続きますよ。」
お二人の目指すのは、食と真摯に向き合っている生産者とつながり、ネットワークをつくること。そして「生産者と消費者との間の架け橋」になることだそうです。「フランスの伝統や文化だけでなく、日本の季節の移り変わりや地産地消、Made in Japanの価値を改めて見つめなおし、学び、お客様とその価値をシェアしながら、未来へ繋がる今日の食の在り方を考えたいと思っています。」
フランスと日本。伝統と革新。稲村ガ崎で紡がれるLaînéさんの新しい物語、これからも楽しみですね。
取材 ALOHAS
※価格はすべて税抜きです。別途、消費税、サービス料がかかります。
※料理の内容、価格は季節や食材によって変更の可能性があります。
※掲載情報は取材日時点(2023年3月)のものです。