#路地裏の隠れ家へ②

小町の路地裏で10年。憩いの隠れ家カフェへ

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【Garage Bluebell】空間と時間を楽しむティータイム専門店

「10年前、店の前の通りはこのあたりの住人しか通らない生活道路だったんですよ。だから、 待てども待てども人が来なくて。ある日、 通りすがりのツワモノのお客様が入ってきてくれて、この店の歴史が始まったんです」

そう笑いながら、開店当初を振り返るオーナーの駒澤康子さん。それから10年、 古民家風の縁側に英国のアンティークが溶け込むティールームには、駒澤さんが焼くイギリス菓子を目当てに訪れる人が後を絶たない。なかでもスコーンは、駒澤さんとパートナーの宮崎浩一さんがお店を開こうと決めたのち、最初に誕生した記念すべきメニューだ。

目印はユニオンジャック

「彼が以前イギリスに住んでいたこともあり、 “ティールームと言えばスコーンだよね” という単純な発想からスタートしたわけですよ。でも私は本場のスコーンなんて知らないし、いざ食べ歩いてもなかなか彼の記憶の中にある味に出会えない。仕方がないから、山ほどレシピを集めて、山ほど作っては食べてを繰り返して。多いときは1日2〜3回スコーンを食べていたほどです(笑)。それで、ようやく自分たちがおいしいと思える、納得できるものができあがったんです」

玄関で靴を脱ぎ、あたたかい光が射し込む縁側へ

試行錯誤の末に完成したスコーンは、外がサクッと軽く、中はしっとりとした口当たり。自家製のスコーン専用クリームとジャムをこんもりとのせ、有機栽培茶葉で淹れる香り高い紅茶を合わせれば、夢見心地のおいしさが味わえる。

スコーンと紅茶がセットで提供される「クリームティー」。自家製のジャムは季節替わりで。

一昨年には、もともと宮崎さんの祖母宅だった築70年の古民家を新築に立て替え、再出発。木材をふんだんに使った鎌倉らしい一軒家は、古民家時代の建具や調度品を再利用していることもあり、以前のままの風情を残している。磨きあげられた窓から陽だまりの庭を眺めていると、せわしない日常がすーっと遠のいていくよう。一度来店すると繰り返し足を運ぶ客が多いのは、スコーンの味わいもさることながら、この穏やかな空間にも秘密があるのかもしれない。

陽だまりの庭には猫も遊びに来る。 「今はレギュラーが2匹、気が向いたらやってくるゲストが1匹。10年間で総勢22匹が入れ替わり立ち替わりやってきました」

「10年やってみて感じたのは、 誰かを迎え入れてくつろいでもらうことが自分の性に合っているということ。お茶とお菓子を出すという名目で、お客様が深呼吸できるような空間や時間を提供できるのが嬉しくて。そういう意味で、ここはティールームというより、 “ティータイム専門店” なのかもしれません」
庭を眺めながらひと息ついたり、大切な人とのおしゃべりを楽しんだり。思い思いに過ごすお茶の時間が、心をゆるりとほぐしてくれるはず。

「目の前のお客様に喜んでもらえることは生きがい」 とほほえむ駒澤さん