鎌倉駅

日本ワイン店 じゃん
二ホンワインテン ジャン

厳選100種超が並ぶ日本ワインの専門店。買って飲める「角打ち」は料理も格別

▲冷蔵ショーケースにはずらり100種以上の国産ワインが並んでいます。日本ワイン店じゃんの社長を務める曜子さんも日ごろから店頭に

鶴岡八幡宮と由比ガ浜海岸を直線で結ぶ若宮大路(わかみやおおじ)と下馬で交差し、鎌倉と藤沢・逗子とを東西にむすぶ道は、大町大路(おおまちおおじ)と呼ばれ、鎌倉時代からの主要道です。この大町大路通りに、2024年4月にオープンしたのが「日本ワイン店じゃん」です。鎌倉駅東口から大町四つ角交差点方面へ向かい、輸入生地や洋裁手芸用品の人気店「鎌倉スワニー」を越えた先、鎌倉駅から歩いて7分ほどで到着します。

7坪ほどの店内に入ると、左手には、ワインボトルがぎっしりと並ぶ冷蔵庫が一面に。中央には一枚板のテーブル、そして右手奥には調理スペースが設けられています。

お店をはじめたのは、佳祐さん・曜子さんご夫婦。キャンプの買い出しで立ち寄った、山梨県北斗市のスーパー「ひまわり市場」の豊富な国産ワインの品揃えに驚きつつ、甲州や信州のワインを購入。それらのワインをいただいたところ、その風味と奥深さに開眼!キャンプに出かけた際には、必ず同店に寄っては近隣で醸造された土地のワインを購入するようになったのだそう。

▲平日は16時から、土日祝日は14時からスタートする角打ち営業。毎日10種類程度のワインをグラスでいただくことができます

「ひまわり市場のワイン売り場で、店員さんの話を聞きながらワインを選ぶのが楽しくて」と、曜子さん。売り場で接客してくださっていた店員さんとも顔見知りに。その方、実はワイナリーで働いていたご経験があり、目利きだけでなく造り手としても豊富な知識をお持ちであることが判明。やがて師匠と仰ぐようになったのだそう。

訪れた先で造られた土地のワインを味わう機会の豊かさを実感したお二人は、味わいだけでなく、ぶどう栽培や醸造の奥深さも含めた日本のワイン文化をより多くの人に知って欲しいと、ついには「売り手」になることを決意。ひまわり市場の師匠は、二人の熱意にほだされ、同店で取り扱う近隣のワイナリー20社ほどを紹介し、開業に向けた手助けまでしてくださったのだとか。

ひまわり市場での購入をきっかけに日本のワインに出会って2年が過ぎた頃、2022年10月に鎌倉市内の自宅に売り場スペースを設け、ワインの販売をスタート。「日本ワインの店 じゃん」のはじまりです。

▲北海道から九州まで約80軒のワイナリーから仕入れた日本のワインが100種ほどを常時販売しています。赤・白・ロゼなどのタイプで選ぶのはもちろんのこと、産地やラベルで銘柄を決める楽しいですね

実は同じ企業に勤めていたお二人ですが、先に曜子さんが退職し、ワイン販売のために法人を設立します。その後、なんとご主人の佳祐さんも会社勤めを辞めて、お二人で日本のワインやワインにあう食品類の販売に取り組むことに。以前から「居酒屋のおやじ」になると想っていたという佳祐さんは、もとから大の料理好きだったそう。友人などを集めた会費制の食事会も定期的に開催しては、自慢の腕をふるい、練習を重ねていたのだとか。

ワイン販売を自宅で始めた矢先、そんな佳祐さんに、近くの料理店での間借り営業のチャンスが舞い込むのだから、人生は面白いですね。

自宅で販売する頃からワインを購入してくださっていたのが、人気店「おおはま」の店主さま。彼女のお誘いを受け、2023年4月から2024年2月末までの期間限定で「日本ワイン酒場 じゃん」として、「おおはま」で間借り営業をすることに。この間に、佳祐さんは料理の腕をさらに磨きながら、食材の仕入れや管理、接客など多岐にわたる飲食店の経営についても学んだと言います。その酒場にお客さまとして通ってくださっていた現店舗の大家さんから、「自分たちのお店を開いたら?」と、お声がけがあり、同年4月に、この場所に現店舗オープンされました。

▲多くのお客さまがオーダーされるという前菜の盛り合わせ(お二人分)とこの日のワインリストにあった山梨県イケダワイナリーの白と宮崎県都農ワインのロゼ

間借り営業期間の手ごたえもあり、「日本のワインの良さを知っていただくために、どうしても角打ちが必要だったんです」と、佳祐さん。日本の気候風土を反映させた個性豊かなワインの実力を味わう場所をお店に設けたかったと言います。

じゃんの角打ちは、いわゆる角打ちの先入観を覆すような驚きが沢山あります。まず、中央のテーブルを囲むようにスツールがあり、角打ちながら着席して飲食することができます。席に着くと、さながらワイン好きな友人宅のキッチンダイニングで、気のおけない仲間たちと食卓を囲んでいるような不思議な気分に。メニューが書かれた黒板には、グラス単位でいただくことができるワインリストと合わせて、肉・魚・チーズ・〆もの・・と30種類ほどの角打ちの肴の域を超えたメニューが並んでいます。

この日の前菜の盛り合わせは、「ベビーホタテと長ネギのオイル漬け」「丸ごとトマトの土佐酢漬け」「里芋と鶏ひき肉の塩麹和え」「チヂミホウレン草とうららのごま和え」「しみしみ大根の唐揚げ」「酒かすクリームチーズ」の6品(季節によって内容や品数は変化するそうです)。手の込んだ料理であることが見てわかる、角打ちであることを忘れるような品々が並びます。塩こうじを使うなど和の調味料にもこだわる手料理が、日本のワインによく合います。

▲佳祐さんの出身地、横須賀市の老舗肉屋「横須賀松坂屋」のハムをつかった、ハムカツも人気メニュー。ハム自体に塩味があるので、レモン汁だけでも◎ワインにも合います!

グラス単位でオーダーできるワインの銘柄は毎日10種類程度。いずれもワイナリーへ実際に足を運び、醸造家やワインメーカーの代表とお会いし、製造現場や工場を確認しながら、味わいも含めて厳選したもの。ショーケースに並ぶボトルを選んで、抜栓し、店内でいただくこともできます(ワインのボトル販売価格+抜栓料)。お友達やグループでの利用なら、ショーケースからボトルを選んで、楽しむのも良いですね。

なお、店名の「じゃん」は、いわゆる神奈川の方言といわれる「○○じゃん」から採用されたとのこ。この軽いノリが、ひまわり市場での日本のワインとの出会いから、自宅での販売、間借り営業、自店開業までトントン拍子で進んできた原動力なのかも知れませんね。

▲銘柄ごとに異なるぶどうの品種や栽培方法、産地の気候風土や醸造へのこだわりを聞きながらいただくことで一層味わいに深みが増すようです。気に入った銘柄はボトルで購入して持ち帰ることもできます

毎日14時開店で、平日は16時~、土日祝日は開店と同時、14時から角打ちを楽しむことができます。週末などは、時間帯によっては満席になることも多いそうで、事前に予約して来店されるお客さまも多いとのこと。月に1回程度は、ワインメーカーらをゲストに迎えた学びながらワインを味わうようなイベントも定期的に開催しているそうです。

▲佳祐さん(左)とスタッフのりょうたさん(右)。佳祐さん・曜子さんをはじめワインと料理に詳しいスタッフさんで営業されています

お客さまは女性も多く、都内から定期的に通われる方も増えているとのこと。お一人で来店される方も、同じテーブルを囲んでいると、お客さまどうしでの会話も盛り上がることも多いのだとか。ワインと料理のマリアージュだけでなく、作り手と売り手と買い手の垣根を超えた繋がりが生まれているようです。

「日本各地で栽培されたぶどうを使って醸造された日本のワインを販売して、産地やワインメーカーとお客さまの繋がりを育むこと。お客さまの感動を生産者に戻し、循環させること」を大切にしているという曜子さん。歴史ある大町大路で、角打ちの域を超えた料理と日本のワインを味わってみてはいかがでしょうか。

※掲載情報は2025年2月取材時点のものです。

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概要

※掲載している情報が変更になっている可能性がございますので、公式サイト等で最新の情報をご確認ください。

店舗名
日本ワイン店 じゃん
二ホンワインテン ジャン
住所
〒248-0007 鎌倉市大町2丁目1-10 宮内ビル 1階
TEL
0467-37-3138
アクセス
「鎌倉駅」東口から徒歩7分
営業/拝観時間
販売 14:00-21:00
角打ち 平日16:00-21:00(L.O.20:00)、土日祝日14:00-21:00(L.O.20:00)
定休日
月曜日
公式サイト
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