由比ヶ浜駅から海に向かい徒歩3分、住宅街の一角に“ナチュラルワインの聖地”や“レストランのワインセラー”と呼ばれる、ワイン専門店【鈴木屋酒店】はあります。
扉を開けると、床から天井まで、手前から奥まで、所狭しとワインボトルの並ぶ圧巻の風景。棚には、一般的によく見られる産地や品種の表示や解説など一切なく、ボトルに値札シールが貼られているのみ。価格も2,000円台から15,000円程のものが混在して並んでいます。
店主の兵藤さんにその理由を伺うと「産地や品種別に並べると、大抵の方は自分の知っている範囲でしか選べないんです。知識に関係なく、わざと迷っていただけるように」とのこと。迷う、分からない……と、店員さんに聞くことになりますが、実はそれが店主の思惑。
「どんなワインが飲みたいか、希望の価格帯は、贈り物なら相手はどんな方か、いつどんな時にどんな人と飲むのか……ぜひ、聞いてください」と、兵藤さん。十分なコミュニケーションからセレクトしてもらったワインなら、確かに間違いなし! 果たしてどんな味わいや香りなのか、新たな出合いに期待が膨らみます。
▲取り扱うワインは常時およそ7,000本。同じワインでも輸入のコンディションなどで品質に差が出るため、仕入れの基準は、絶大な信頼を置くインポーターとの深いお付き合いに重きを置いているそうです
▲“ナチュラルワインの聖地”への入口は唯一、この小さな扉
▲ワイン好きの間で近年一大ブームを起こしている、ブドウの皮も種も原料にした通称“オレンジワイン”から、春先におすすめのワインを2種セレクトして頂きました。「ラ・カステッラーダ VRH(ヴルフ)2012」イタリア・フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州(左)、「イル・ファルネート ジャンドン・ビアンコ2023」イタリア・エミリア・ロマーナ州。左は、作り手自身が蔵で13年寝かせて2025年に初出荷したというとても珍しいタイプのヴィンテージもの
▲4代目店主の兵藤さん。セレクトの基準は、ヨーロッパの伝統産地からのみ厳選。鎌倉市内のオーナーシェフをはじめ、全国の飲食店からも信頼を得る存在です
▲作り手のこだわりを映す、エチケットと呼ばれるワインのラベル。デザインも様々でギャラリーを訪れた気分
▲創業当時から先代までは、お酒を主軸に食料品や日用品を扱うジェネラルストアとしてオープン。4代目を受け継ぐ兵藤さんが自然派ワインに開眼し、全国のレストランのワインセラーとも呼ばれるナチュラルワイン専門店となりました