鎌倉駅西口から歩いて2分、御成通りからすぐの路地にある「まちのスナック」は鎌倉のIT企業カヤックが運営する「鎌倉を愛するみんながつくる、気軽な夜の談話室」。いわゆるオールドスタイルのスナックとは違ってカラオケなし、そして、なんとママ、マスターは公募制でしかも日替わり交代というユニークなお店です。
カヤックは、2018年から鎌倉で働く人に週替わりでランチを提供する「まちの社員食堂」を運営してきました。しかし、コロナ禍により在宅勤務が増え、社員食堂の利用は減少。近隣の自治会など地域活動すら減っていく状況の中で、職住問わず多世代の人々が交流できる場が必要ではと考えるようになったそうです。そして、2022年9月に「まちの社員食堂」の営業はそのままに内装をリニューアルし、夜営業として「まちのスナック」をオープンされました。
夜は「まちのスナック」(19:00-23:00)。ガラス張りの入口から中が見通せるので、スナック初心者にも安心で入りやすいです
昼の「まちの社員食堂」の営業が終了すると、「まちのスナック」へ変身。スツールカバーが替えられ、テーブル席にはアンティーク調のクッションが置かれるなど、落ち着いた内装に模様替えとなります。カウンターでママやマスターとじっくり話すのもよし、テーブル席に座ってグループで歓談もよし。人数や気分に合わせて、ゆったりと夜のひと時を過ごすことができます。
棚に並んだウィスキーボトルとベルベット調のクッション。夜は照明も調光され、ぐっとスナックの雰囲気になります
「ふらりと立ち寄って気軽に話せる場をつくりたいです」と語るのは、お酒は飲めないけど、お酒の席が大好きなけいかママ(宮城景花さん)。本業は北鎌倉でキャリアコンサルティングをされています
公募により集まったママ、マスターは現在60名ほどの登録があるそうで、日替わりでお店を担当されています。「初めは(ママ、マスターを)募集してもあまり集まらないと思っていました。でも、ふたをあけてみたら予想以上にたくさんの応募があり、びっくり。鎌倉や神奈川県内だけでなく、毎回お店に立つのを楽しみに東京から出勤してくるマスターもいるんですよ」とカヤック企画部の植杉さん。現在、「まちのスナック」のホームページではママ、マスターを募集中です。応募された方は、まず日替わりママ、マスターと一緒に「チーママ」や「チーパパ」としてお店に立ち、研修していただくシステムとのこと。なかなかママやマスターになれるチャンスはありませんから、なんだか面白そうですね。
この日はけいかママと二人の「チーパパ」という3人体制。常連さんはもちろん初めてのお客様とも会話がはずみます
お客様は性別問わず、年齢層も30~50代と幅広く様々ですが、皆さん鎌倉を愛する人ばかり。ふらりと一人で来てママやマスターと雑談をしたり、地元情報を仕入れたり、隣り合わせたお客様同士で話が盛り上がったり。カラオケはなくても、人と人がつながり、そして交流する場所となっています。
ウィスキーのオンザロック(シングル 500円~)とミックスナッツ(500円)
お店の料金体系はチャージ1,000円(つきだしの小鉢ナッツ含む)、アルコール500円~、ソフトドリンク350円~、フード500円~。支払いは現金不可で、QRコード 、電子マネー、クレジットカードでの決済のみとなっています。
しっかり味の沁みた具とトッピングの「だし粉」の旨味が特徴の静岡おでん(一皿600円)。お店で用意されるフードは日によって異なりますが、いずれも健康的な手作りのものばかり。お客様自身がテイクアウトフードを持ち込んだり、ウーバーイーツなどの出前を頼むのもOKです(ドリンク類の持ち込みは不可)
スタートしたばかりの「まちのスナック」ですが、今後、さらに良いお店にしていくために支援金とボトルキープがセットになったボトルキープファンディング(5,000円~20,000円)が実施されています。(キープ期限3か月)鎌倉を愛する、そしてスナックを応援する気持ちがつながっていきます。
親密な温かさがありながら閉鎖的ではなく、初めての人でもちょっと入ってみたくなる空間。お店の前には外飲み用の椅子と小さなテーブルが置かれており、ワンちゃんの散歩の途中で一杯というお客様もいらっしゃるそうです
幅広い年齢層のお客様に来ていただき、世代を超えた交流の場になることを目指しているという「まちのスナック」。本業でさまざまに活躍されているママやマスターとお客様、そして、お客様同士の会話から生まれる人と人とのゆるいつながりが、心地よい町の空気をつくっていくのかもしれません。「まちのスナック」のさらなる「進化」が楽しみですね。
取材 ALOHAS
※価格はすべて税込みです。
※掲載情報は取材日時点(2022年11月)のものです。