鎌倉駅東口から小町通りを歩いて5分。裏路地を少し入った所にあるのがbasic bake koto。「やさしく、シンプルで、基本に忠実に」をモットーに、素材の味をいかした欧風焼き菓子を製造、販売するお店です。(イートインスペースはありません)
店長のトモさんは独学で菓子づくりを始め、フレンチやイタリアンのレストランでパティシエの仕事を経験。基本的なお菓子からコース料理のデザート、婚礼やパーティー用のお菓子まで、現場で多くの事を学んだそうです。そんな中で「自分らしいお菓子ってなんだろう」と考えるようになります。そして、「シンプルに小麦粉の美味しさを味わえる家庭的な焼き菓子こそが自分の原点」と気づきます。
レストラン勤めを辞め、トモさんは友人とカフェの一隅を借りて定期的に焼き菓子を販売するベイクショップを始めます。さらに、共通の友人を通じて東京・三田のカフェ&ダイニングバーFLAGのオーナー飯田(はんだ)さんと知り合い、FLAGで働くことになります。チーズケーキなど、トモさんがつくる焼き菓子は評判となりましたが、その後、トモさんが鎌倉へ移住。そのタイミングで、飯田さんは鎌倉でトモさんが焼き菓子をつくれる場所を探すことになります。そして、2022年11月、基本に忠実な(basic)焼き菓子(bake)を古都(koto)鎌倉でというコンセプトのもとにbasic bake kotoが誕生しました。
basic bake kotoでは、なるべく余計なものを使用せず、小麦粉やバターなどの原材料を厳選し、素材の組み合わせもシンプルに、「正直な」お菓子を目指しているそうです。また、「(お菓子は)あえて小さな単位で、ひとつひとつの量は多すぎず少なすぎず、いくつかを組み合わせて手土産にしやすいようにしています。少しずつ試せるのが好評です。」と店長のトモさん。
フィナンシェの生地の真ん中にガナッシュチョコをのせて焼き上げるティグレ。名前の由来は生地に混ぜ込まれたチョコチップが虎(=仏語でティグレ)の模様に見えることから。しっとりした食感のbasic bake kotoのティグレはプレーンな生地のほかに、アールグレイ(紅茶)やカカオ、キャラメルを使ったものなど様々なバリエーションがあり、日替わりで楽しむことができます。
お店の内装はオーナーの飯田さんが知人のアイアン造形作家にデザインと工事を依頼し、アイデアを出し合いながら創り上げたそうで、アイアンと古材、家具、照明、什器、すべてが調和し、温もりを感じさせる空間となっています。ガラスの小窓から見える工房の風景は映画の1シーンのようですね。
「子どもの頃、母親がよくお菓子をつくってくれました。多かったのは和のお菓子で、お団子や柏餅。素朴な味が大好きでした。」お母様の影響で小学生の頃から自分でもお菓子をつくるようになったそうで、素材本来の味を感じられるお菓子が好き、というトモさんの菓子づくりの原点がここにありますね。
「鎌倉の方は原材料についてもしっかりと吟味されるので、正直にシンプルに、王道のお菓子をつくろうと思いました。今後は、地元の方の好みもリサーチして、少しアレンジを加えていく予定です。」日常的に食べても飽きない美味しい焼き菓子をつくり続けているbasic bake koto。これから鎌倉で生まれる「新basic」な焼き菓子も楽しみですね!
取材 ALOHAS
※価格はすべて税込みです。
※掲載情報は取材日時点(2023年4月)のものです。