高校時代、一生続ける仕事として「将来は絵描きになる」と決めていたという麻生さん。4浪!を経て進学した大学で油絵を描き、在学中に描いた作品を販売したお金で、日本一周の旅へ出かることに。旅の相棒は浪人時代からの友人、武内さん。その活動を「ワタリドリ計画」と名付け、制作と発表を日本の各地でとスタートしたのが2009年。1年間という期限で始めた旅は現在も進行中ということでお話を伺いました。
高校時代、一生続ける仕事として「将来は絵描きになる」と決めていたという麻生さん。4浪!を経て進学した大学で油絵を描き、在学中に描いた作品を販売したお金で、日本一周の旅へ出かることに。旅の相棒は浪人時代からの友人、武内さん。その活動を「ワタリドリ計画」と名付け、制作と発表を日本の各地でとスタートしたのが2009年。1年間という期限で始めた旅は現在も進行中ということでお話を伺いました。
最初の目的地は北海道。出発前に札幌の貸しギャラリーの予約を済ませてから旅に出たとか。
以来、旅先で心に残ったもの、美味しかったものなどを自宅へ戻って描き、作品が完成すると再び現地の美術館やギャラリーへ赴く活動が現在まで続いています。作品を発表する展示会やワークショップを開催し各地の人々と交流。現在までに全国各地20か所以上を巡られています。
当初より二人で編集した「ワタリドリ通信」という新聞を不定期で発行し、活動の計画、旅先での出会いや出来事、そして各地での活動報告について情報発信を続けてきました。
地道な活動を続けるなか各地の美術館や企業からの依頼も増え、作品の発表に限らず最近は地域の魅力を伝えるお仕事にも携わっています。
美味しいものが大好きで食べ物の絵を描くことも多いという麻生さん。身近なモチーフとして藤沢の老舗ラーメン店「古久家」さんのラーメンを描いたことも。2020年に出版された単著の絵本「こたつ」(福音館出版)の中には「鳩サブレ」も描かれていました。
現在は新作絵本の準備と2022年11月に岡山県で開催される三つの展覧会、倉敷のギャラリー遊美工房と勝央町美術文学館での個展(絵本「こたつ」の原画展)、そして奈義町現代美術館での「ワタリドリ計画展」、に向けた準備もはじまっているそうです。
普段は藤沢のご自宅で制作活動を続けつつ、自宅敷地内で運営する「山内龍雄芸術館」(画家 山内龍雄の作品を中心に展示)の管理も。麻生さんも武内さんも、時間の経過とともに住む場所や家族が増えるなど生活面での変化を経ても、ワタリドリ計画の旅は続きます。今後の活動も楽しみですね。
麻生 知子(あそう ともこ)
プロフィール
1982年埼玉県生まれ。画家。日々の思い出の中で、何気なくも面白いと感じた一場面を独特の構図と質感で描き、観る人に作品の中の世界にともにいるような感覚を味わわせる絵画を制作している。最近は、陶作品の制作や絵本の制作もおこなっている。
取材 ALOHAS