長谷駅で江ノ電を降り、1分ほど海に向かって歩くと、小さなカフェにカラフルな国旗が揺れています。ここは、タイ出身のICEさんが腕をふるうカフェ【ICE kitchen(アイスキッチン)】。白を基調としたインテリアが、海の町によく似合います。
ICE kitchenでは、ICEさんのお母様が営むタイの屋台の味をルーツに、鎌倉やさいをふんだんに使ったタイ料理をいただくことができます。
おすすめは、スパイシーなタイ風焼き鳥、ガイヤーンプレート(冒頭写真)。トマト、赤玉ネギ、ココナッツシュガーなどを使った特製ソースに漬け込みパリッと焼いた香ばしい鶏肉に、タイ米、サラダ、スープも付いて、栄養バランスもばっちり。そして「新メニューで、女性に大人気なんですよ」と教えてくれたのが、こちらの「グンオッブウンセン」。
タイの醤油とブラックスイートソースが味わい深く、パクチー、レモングラス、タイのウコンが爽やかなアクセント。旨味を吸ったボリュームたっぷりの春雨は麺のようで、ツルツルっと箸が進みます。ついつい太りがちな冬、カロリーが気になる人にも嬉しいメニュー。
ICE kitchenの並びにある、ICEさんの旦那様が営むハワイ・ホノルル発のカジュアルブランド【URBAN ISLAND SOCIETY(アーバンアイランドソサエティ)】ではショッピングも楽しめますよ。
そして、海まではすぐそこ。食後の散歩がてら潮風を浴びに行ってみて!
入口からして異国情緒を感じる【バーンウエンター】は、オープンして15年以上、鎌倉では老舗のタイ料理店。由比ガ浜の海の家のアイコン的存在でしたが、今後は出店しないそうなので、ぜひ雪ノ下の本店へ足を運んでみてください。周囲には鶴岡八幡宮など神社仏閣の名所も多く、鎌倉観光コースの合間に立ち寄りやすい立地ですよ。
店名の「バーンウエンター」は、タイ語で「ウエンとターの家」という意味なのだそう。バンコク出身のご夫婦で営む家庭的な食堂です。
35種類ほどもある豊富なメニューは写真付きで、どれも試してみたくなるものばかり。リピーターが多いのも頷けます。迷っていると「寒い時は、トムヤムラーメンはどうですか? タイでも若い子たちに人気ですよ」とのこと。
唐辛子のスープ・米麺に、エビ、玉ネギ、しめじ、タイのハーブが彩りよく並ぶトムヤムラーメンをいただきました。スープには牛乳が入っており、予想以上にマイルドなお味! 唐辛子の赤い見た目にひるまず、麺も具もスープごと豪快にすすって食べちゃいましょう。
「バンコクの味は、旨味をきかせた優しい味なんです」とウエンさん。酸味辛味が大好きな人は、特製のプリックナムソム(唐辛子の酢漬け)を入れて味変してみるのもいいかも。さっぱりした青パパイヤのサラダ、ソムタムタイもおすすめだそう。
飾られていた金の筒が気になって質問してみると、タイウイスキーの「メコン」という、タイでは一般的なお酒とのこと。蒸留酒にハーブやスパイスがブレンドされており、タイ料理にもよく合うそう。ビールのイメージが強いタイですが、ウイスキーを試してみるのも面白そうですね!
鎌倉駅から続く御成通りの路地周辺は、ローカルにも人気のレストランやカフェが集まる一画があります。2009年にオープンした後、長谷から御成町に移転してきた【kuriyum(クリヤム)】もそんな人気店のひとつ。
外観も店内も、タイ料理店には珍しい落ち着いた色合いと佇まい。カラフルなアジアンテイストにふらなかったというデザインに、オーナー河栗夫妻のこだわりとセンスを感じます。並んだランプもいい雰囲気ですね。
あれ、河栗さん、どうしてそんなにびっくりしているの? 「今日のカメラマンの三浦安間くん、実は鎌倉の同級生なんです」と、嬉しい偶然。楽しそうに近況報告が交わされた後、お店への想いやおすすめも伺いました。
タイ料理の修行をつんだ河栗さんがつくるのは、本場のスパイスとハーブをふんだんに使いつつも、日本の季節に合った絶妙な味わいの品々。「年中暑いタイの料理はけっこう甘いので、“タイの味”になりすぎないように意識しています。スパイスやハーブは使う量だけでなく、大きさによっても味が変わるんですよ。」
おすすめの「ゲーンキヨワーン」は、鶏肉と地場野菜のグリーンカレー。使う野菜は季節ごとに変えており、河栗さん自ら鎌倉の【レンバイ(鎌倉市農協連即売所)】で買い付けます。撮影当時の具材は、紫芋、かぶ、アスパラ菜と鶏肉。予想もしなかったカラフルな色合いが、楽しい驚きでした。
カレーをたっぷりとスプーンにのせて口に運べば、ココナッツクリームの濃厚さ、ゴロゴロした野菜の甘みからはじまり、最後は青唐辛子のスパイシーな刺激! 香り高いジャスミンライスもマッチして、食べ進めるうちにすっかりからだも温まりました。次回は、要予約の冬季メニュー、タイスキ鍋(2名より注文可)も試してみたいです。
鎌倉駅徒歩2分という立地は、観光客にとっても嬉しいポイント。移動の合間や、由比ガ浜方面への観光ルートに組み込んでみてはいかがでしょうか。
取材・文 二木薫
撮影 三浦安間