店主の個性溢れるこだわりのグルメやアートと一期一会の一日旅。紅葉のシーズンに訪れたい隠れ家スポットをご紹介します。
店主の個性溢れるこだわりのグルメやアートと一期一会の一日旅。紅葉のシーズンに訪れたい隠れ家スポットをご紹介します。
▲丸いブリオッシュにクリームをサンドしたフランスの素朴なおやつ「トロぺジェンヌ」。卵とバターを使うリッチなブリオッシュ生地にクリームチーズやヨーグルトを加えて軽い口当たりに。旬のフルーツをたっぷり添えて爽やかな酸味を添えるのがマルン流。無農薬の国産レモンを使用した「レモネード」は、自家製シロップに漬け込んだレモンスライスもアクセント
北鎌倉駅から徒歩4分ほどの裏路地に佇む【お菓子と喫茶 マルン】。パティシエとして都内の有名店で研鑽を積み、フランスのカフェ文化を知りたいと1ヶ月かけてパリのカフェ100軒を巡ったというオーナーパティシエの渡部さんが一人で営んでいます。
▲自然豊かな北鎌倉のそよ風と日差しが心地よい、一年中緑に覆われるテラス席
▲パイ生地から手作りし、しっかり具材を感じるよう素材の大きさにもこだわった「マルン特製キッシュプレート」は常時2種類。写真の「サーモンとほうれん草のキッシュ」の他、季節ごとに具が変わるシーズナルキッシュから選べます。「付け合わせのピクルスや副菜も季節ごとにその都度美味しく」がモットーだそう
▲すり減った急勾配の石段を上り進んで行くと、鐘つき堂を兼ねた山門「鐘楼門」があります。秋には、色鮮やかな紅葉が山門を彩り、境内では銀杏の黄葉やススキ、萩、秋明菊など可憐な草花も見ることができます(写真:原田 寛 )
北鎌倉駅から鎌倉駅方面に8分程歩くと、街道から右手に入る道の先に緑豊かな杉木立に囲まれた苔むした石段が見えます。そこは、静寂とどこか神秘的な空気に包まれた禅宗の古刹【浄智寺】。
国の史跡に指定される境内には、風情ある茅葺きの山門や書院、茶室などもある他、鎌倉江の島七福神の一つであり弥勒菩薩の化身と言われている布袋尊の石像が祀られ、仏殿では過去、現在、未来の三世にわたって人々の願いを聞き入れてくれるという仏像が出迎えてくれます。
▲アプローチの紅葉。緩やかな坂を登り海蔵寺に向かう際、離れた場所からも見える鮮やかな紅葉が印象的です
鎌倉を代表する「花の寺」の一つ【海蔵寺(かいぞうじ)】は、1253年(建長5年)、宗尊親王(むねたかしんのう)に命じられ、藤原仲能(なかよし)が本願主となり七堂伽藍(しちどうがらん)が建てられました。
初春のスイセンに始まり、春にはカイドウ、夏にはアジサイ、初秋には参道の階段を覆うほどのハギが咲き誇ります。一年を通して花がたえないため、写真愛好家の間では「困った時の海蔵寺」と言われるほど。花の名所として有名なため「紅葉」としての印象は薄いかもしれませんが、実は谷戸に抱かれた隠れた名所となっています。
▲パンに寄り添った料理を心がけているという美雪さんが手掛ける本日のランチ「パンとスープ・プレート」には、カノムパンのパン2種と本日のスープ、季節のサラダ6種付。一口ごとに広がる優しいパンの味わいと香りが、ほんのりとエスニックなアクセントを効かせたスープと愛称抜群。パンをスープにディップしていただくと、止まらない美味しさにパンをおかわりしたくなること必至です!
地元の人もなかなか足を踏み入れない鎌倉扇ガ谷の奥まった住宅街に佇む、隠れ家カフェ&ベーカリー【terre verte & khanompang(テールベルトとカノムパン)】。
元々は葉山でカノムパンを営んでいた岳さんと、扇ヶ谷でカフェテールベルトを営んでいた美雪さんの店が一つとなり、2015年より現在のカフェ&ベーカリーというスタイルになりました。
▲1階はパンの販売カウンターと外にテラス席も完備。国産小麦とライ麦、自家製玄米酵母など原料にこだわり、一部チーズの入ったものを除いて動物由来の原材料を使用しないなど、シンプルな素材を生かしたなパンが常時20種以上並びます
▲窓からのグリーンが心地よい2階のカフェスペース。“生活に取り入れたら楽しくなるような”美雪さんセレクトの雑貨や作品をはじめ、元々常連客だった谷本さんが手掛ける“吊るす観葉植物”「ハングボール」なども展示販売しています。天井で植物が浮遊する光景にもリラックス
▲手紡ぎの羊の毛を編んだ帽子や、世界中を旅して出合ったビーズやボタンをあしらったり、黒田さんの作品は色使いや素材の組み合わせが独特で、他では見られないデザインが魅力
江ノ電「鎌倉駅」西口から徒歩約7分、今小路通り沿いに佇む【旅する帽子屋 パハロ(pájaro)】。帽子作家であり写真家としても活動している黒田真琴さんが営むアトリエ兼ショップです。「pájaro」はスペイン語で「鳥」のこと。旅好きな黒田さんの「旅する鳥のように身も心も自由に」という想いが込められています。
▲店内には、親交のある地元の作家さんの作品やアクセサリーなども展示販売され、ギャラリーといった趣
▲店内には、自身で手焼きプリントまで仕上げる旅する写真家としての作品も展示されています
▲コケーシカは長谷の鎌倉文学館近く、由比ヶ浜大通りから小道を入った住宅街の長谷乙女通り沿い、吉屋信子記念館の向かいにあります
写真家・詩人であるポエムグラファー沼田さんが営む【コケーシカ】」は、日本の伝統こけしとロシアのマトリョーシカを専門に扱うセレクトショップ。
店内には、東北のこけし職人が手がけた伝統なこけしや、ロシアとウクライナの作家によるマトリョーシカ、そしてマトリョーシカの木地にこけしの描彩をした店の屋号になったオリジナルデザインの「コケーシカ」、さらに沼田さんと様々なアーティストがコラボした愛らしい作品などが並び、博物館のような、ミュージアムショップのような、おもちゃ箱のような魅惑の空間です。
▲鎌倉にちなんで、大仏様を可愛らしくデザインしたイラストレーター100%ORANGEさんによる「リトルブッダ マトリョーシカ 」。デザインは日本、製作はロシアの鎌倉限定オリジナル人気商品
▲東北の温泉街で発展したといわれる日本の伝統こけしの数々。地域によって体系や描彩、表情にそれぞれの特徴があり、地域性を反映した様々なこけしが存在します。こけしを通して日本の伝統文化を深掘りするのも楽しそうです
▲エントランス前のカウンター席が“映えスポット”の特等席。江ノ電を背景に、稲村の青い海をイメージした「うみのクリームソーダ」は一番人気の組み合わせ。稲村の黒い砂浜をイメージした「コーヒーフロート」なども
富士山を望む絶景スポットとして知られる稲村ヶ崎公園に程近く、店の目の前を江ノ電が行き交う住宅街に佇む【cafe うみのトナリ】。鎌倉らしい風情ある線路沿いの細い小道を進み、辿り着いた店内に一歩足を踏み入れると、ミントグリーンの壁の先には広々としたガーデンを備えた開放的な空間が広がります。
▲以前は、ニット作家のアトリエとして使用されていたという土間の空間をそのまま生かした店内。大きな窓から心地よい風が通り抜けます
▲ジャンルを問わず、世界中を旅した中で出合い気に入った料理を一皿に詰め込んだ「うみのトナリのスペシャルプレート」。この日のメニューは、ナスとボロネーゼのペンネグラタン、天然真鯛のカルパッチョ、山形のダシ入りもずく、中東料理の定番!ひよこ豆のフムス、玉子と韓国海苔のスープ。限定10食のため、前日までの予約がオススメ
▲夏の喧騒を終えた静かなビーチ。プチ旅の締めくくりは、波音と暮れていく秋の夕空に癒やされながら、富士山のシルエット眺めて砂浜でのんびりと
監修 湘南スタイルマガジン
取材・文 橋本幸恵
写真 三浦安間
立原継望