湘南モノレール「西鎌倉駅」から新鎌倉山へと向かう緩やかな坂道を上ると、徒歩5分ほどで左手に【龍口明神社】が見えてきます。その創建は552年(欽明天皇13年)、飛鳥時代にまで遡ります。
伝説によれば、かつて鎌倉の深沢周辺には大きな湖があり、そこに五つの頭を持つ龍が棲み悪行を重ねていました。五頭龍はたびたび暴れては洪水を起こして田畑を荒し、さらには子どもをさらって人々を苦しめました。村人たちは苦渋の決断の末に生贄を差し出したという記述も残っています。そしてある時、海底が隆起して江の島ができ、そこに空から弁財天が舞い降りました。弁財天の美しさに心を奪われ、思いを寄せた五頭龍は、弁財天に悪行を厳しく戒められると心を改め、やがて二人は夫婦となったとされています。人々に慕われるようになった五頭龍は「五頭龍大神(ごずりゅうおおかみ)」となり、やがて山と化し、村人達はその山となった五頭龍大神を祀るために龍口山に社を建てました。これが龍口明神社の発祥と伝えられています。
1978年に村人達の総意により、江の島を遠望し龍の胴にあたる現在の地へと移転。五頭龍大神として、今も人々を災害から守り続けています。