腰越駅

aniko enoshima
アニコ エノシマ

イタリア・マルケ州の郷土料理を堪能できる気軽なトラットリア

▲腰越駅から歩いて5分ほどの路地に店を構える【aniko enoshima(アニコ エノシマ)】。南欧風の白壁にアンティークのドアや窓を配したファサードが素敵です

北から南まで、州ごとに伝統的な郷土料理があり、多様な食文化を楽しめるイタリア料理。長靴にたとえられるイタリアの中部、「ふくらはぎ」に位置するマルケ州はアドリア海とアペニン山脈にはさまれ、海と山、両方の食材に恵まれた地域です。その豊かな食材を活かしたマルケ料理の専門店として2025年5月にオープンしたのが【aniko enoshima】です。

▲江ノ電が走る「電車通り」から横に入った住宅街にある【aniko enoshima】新店舗ながら、すでに老舗レストランのように町の風景に溶け込んでいます

▲向かって左側にオープンキッチンのカウンター席、右側には木製のテーブル席とベンチシートがある店内。アーチのある白い漆喰の壁がお洒落で、いかにもイタリアのトラットリアという雰囲気です

▲マルケ州の名物料理「ヴィンチスグラッシ」(マルケ風ラザニア)はランチセットでも単品でも注文できます

気軽に楽しめるランチメニューの「選べるパスタランチセット」は、Aセット(パスタとグリーンサラダ)、Bセット(Aに食後の飲み物を追加)、Cセット(Aに食後の飲み物とデザートを追加)の3種類があり、それぞれに小さな自家製パンが付いてきます。パスタはマルケ名物のラザニア「ヴィンチスグラッシ」、濃厚カルボナーラ、ウニのクリームソース、週替わりのパスタの4種類からセレクトすることができます。

今回セレクトしたヴィンチスグラッシはマルケ州を代表する郷土料理で、薄く延ばした手打ちのパスタ生地をミルフィーユのように10層ほど重ね、間にミートソース、ベシャメルソース、パルミジャーノチーズを挟んで焼き上げたラザニア。ミートソースに3種類の肉(牛、豚、鴨)を使うのが独特です。

こんがり焼けたラザニアにザクっとナイフを入れて頬張ると、カリカリのチーズ、モチっとした手打ちパスタの食感とともに、肉の旨味がギュッと詰まったコクのあるミートソースとベシャメルソースのハーモニーが口いっぱいに広がります。見た目の重厚さとは異なる、キレのある軽やかな味わいを楽しむことができます。

昼のメニューにはパスタランチの他に、コース料理やアラカルト料理も揃っています。

▲「選べるパスタランチセット」のグリーンサラダ

季節によって内容は変わりますが、今回はズッキーニ、コリンキー、レタス、ミニトマトに白ワインビネガーベースのソースとアイオリソースを使ったコクのあるドレッシングがかかっていました。

▲ランチセットに付いてくる天然酵母の自家製パン(チャバッタ)

3種類の小麦粉を使った全粒粉パンで、温かいまま紙袋に入れてサーブされるので、しっとり柔らかい状態でいただくことができます。

▲デザートの「ピスタチオの温かいフォンダンタルト」

香ばしいアーモンドプードルを使ったタルトの中にピスタチオペーストがフィリングされており、トロリと温かいペーストの甘みと香りが絶品でした。他に、ティラミスやレモンタルトなど5種類ほどのデザートが用意されています。

▲ヨーロッパ風のアンティーク家具やアートが飾られたインテリア。イタリアの友人宅に招かれたような、素敵でくつろげる空間となっています

▲店の奥には「かまくら」のような洞窟状の半個室があり、気の合う仲間や家族での会食にピッタリです

▲アラカルト料理の「オリーブの肉詰めフリット」と「クレマフリッタ」の盛り合わせ

マルケの郷土料理で有名な前菜「オリーブの肉詰めフリット」は、グリーンオリーブの実を剥いて種を取りのぞき、一個ずつ肉を詰めてこまかいパン粉をまぶして揚げたもの。フィリングは香味野菜やニンニクと一緒に煮込んでミンチにした牛肉にパン粉、チーズなどを加え、隠し味にサルシッチャ(腸詰ソーセージ)も使うという、何とも手の込んだ料理です。チーズの塩気、しっかりした肉の旨味が後を引く美味しさで、これとカスタードクリームを固めて衣をつけて揚げた「クレマフリッタ」との盛り合わせは、しょっぱさと甘さのバランスがよく、ワインが進む一品です。

▲イタリア各地のレストランで10年間修業し、帰国後マルケ料理専門店をオープンしたオーナーシェフの井関さん

オーナーシェフの井関さんは広島県のご出身。20歳で上京し、都内のイタリア料理店に勤務後、2004年に料理修業のためイタリアに渡ります。ピエモンテ州で3年、トスカーナ州で2年、マルケ州で5年の計10年間、各地のレストランで経験を積み、最後のマルケ州では、ミシュラン二つ星レストラン「マドンニーナ・デル・ペスカトーレ」で日本人初のメインシェフに抜擢され、イタリアソムリエ協会認定のソムリエ資格も取得されました。

2014年に帰国した井関さんは、都内のイタリア料理店に勤務後、2019年に自らオーナーシェフを務める「aniko」を赤坂にオープン。マルケ州の料理を中心とした本格的なイタリア郷土料理は、たくさんのお客さまの支持を得て、ミシュランガイド東京の「ピブグルマン」を4年連続で獲得するほどの人気店となります。

2025年5月、井関さんが「アドリア海の海沿いの町に近いイメージだったんです」と語る鎌倉・腰越に赤坂店の姉妹店となるaniko enoshimaをオープン。イタリアの珍しい郷土料理が食べられるとあって、開店早々からたくさんのお客さまが詰めかけています。

店名のanikoはマルケ州の方言で「たくさんのものを少しずつ」という意味があるのだとか。「たくさんの美味しいものを少しずつ楽しめるお店で、たくさんの人を幸せにしたいという想いを込めた名前」だそうです。マルケ州の旅行ガイドブックを執筆、出版するほど「マルケ愛」の強い井関シェフ。修業時代のお話を伺いながら、名物料理をいただくのも楽しいかもしれませんね。

取材 ALOHAS
※掲載情報は2025年7月取材時点のものです。

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概要

※掲載している情報が変更になっている可能性がございますので、公式サイト等で最新の情報をご確認ください。

店舗名
aniko enoshima
アニコ エノシマ
住所
〒248-0033 鎌倉市腰越3-8-20
TEL
0467-81-4538
アクセス
江ノ電「腰越駅」から徒歩5分、「江ノ島駅」から徒歩6分
営業/拝観時間
ランチ(木曜~日曜)11:30~14:30 (L.O.14:00)
ディナー(水曜~日曜)17:30~22:00(L.O.21:00)
定休日
月曜、火曜 ※水曜のランチ営業はありません ※最新の営業日は、お店の公式インスタグラムにてご確認ください
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