鎌倉散策のスタートは干物定食の朝ごはんから。そんなスタイルの先駆けになったのが、稲村ガ崎の古民家干物カフェ「ヨリドコロ」。2015年に開店し、美味しい干物定食とこだわりの卵かけご飯、そして、目の前を江ノ電が往来する線路際というロケーションが評判を呼び、たちまち人気店となりました。
2023年5月、2つ目のカフェ、ヨリドコロ由比ヶ浜大通り店がオープンしました。鎌倉駅から徒歩8分。稲村ヶ崎店と同様、古民家の価値を大切にしながらリノベーションした店内は温もりのある、居心地の良い空間が1階、2階、さらにはテラスまで広がっています。朝7時から18時まで休憩時間なしの営業なので、自分の予定に合わせて干物定食やカフェメニューを楽しめます。
7時~9時の朝ごはんメニューの干物定食は50食限定(先着順)。その中の一番人気は2種類の干物(鯵と鯖の半身)を楽しめるASA定食(1,180円)で、これが食べたくて早朝からたくさんのお客様がいらっしゃるそうです。
ほとんどの人が追加で注文するという「こだわり卵」(220円)は、相模原の養鶏場のブランド卵「恵壽卵(けいじゅらん)」を使用。運ばれてきた生卵の白身を専用の泡立て器でメレンゲにし、それを温かいご飯の上にのせ、最後に黄身をトッピングすれば卵かけご飯(TKG)の完成です。ケーキのようなTKGはフワリと柔らかくて濃厚。お客様がシャカシャカと泡立てる様子や、仕上がりのビジュアルインパクトが抜群で、しばしばSNS投稿にも登場しています。
朝ごはんメニューは他に、あじ干物定食、さば干物定食(ともに980円)が用意されています。
7時から18時までのグランドメニューのお食事は、あじ、さば、えぼだい、など7種類の干物定食、そして、こだわり卵がトッピングされたしらす丼定食(しらす干し使用)。定食にはごはん、味噌汁、漬物の他に小鉢も二つ付いて、腹ペコさんも満足のメニューとなっています。
ヨリドコロの干物はすべて自家製。なんと全国から厳選された新鮮な魚を直接仕入れ、西伊豆の提携工場で天城の湧き水を使って、無添加、天日干しの干物に加工しているそうです。
お店で焼きたてをいただくと、外側はパリっと香ばしく、身はふっくらジューシー。ほどよい塩加減で、しっかりと魚の旨みを味わえる絶品の干物でした。
湘南で生まれ育った店主、恵さんのご実家は藤沢の干物・海産物専門店。若い頃から魚が身近にあり、また、釣りが趣味なので、「魚の目利きには自信があります!」とのこと。これからは、魚の種類やカフェメニューももっと増やしていきたいそうです。
いっぽう、「観光のお客様が増えたことで近隣の方の足が遠のいてしまった」という人気店ならではの悩みもあったそうですが、由比ヶ浜大通り店のオープンを機に、「また戻ってきてくださる地域のお客様も多くて、本当に嬉しいです。」と恵さん。
店内のお客様の波が一段落した15時過ぎ、ベビーカーに幼児を乗せた外国の方たちが来店し、干物定食を注文。会計後にお見送りをしていた恵さんに後で聞くと、イタリア人のご家族で観光旅行の最終日に立ち寄ってくれたとのこと。ホームページやSNSで英語での発信をしていることもあり、海外からのお客様がたくさん来店されるようです。
お店では、近隣の方らしき高齢のご婦人が「チーズケーキ、1つ買えるかしら?」と立ち寄るシーンにも出会えました。
ヨリドコロという店名の由来は、地域の方々や国内・海外からのゲストが集い、交流する「拠点」になりたいという想いからだそうです。
由比ヶ浜から長谷へと続くメインストリートの由比ヶ浜大通り。ローカルの人たちとゲストの皆さんが行きかう場所で、ヨリドコロ由比ヶ浜大通り店はこれからきっと新しいコミュニケーションの拠点になっていくことでしょう。
取材 ALOHAS
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※掲載情報は取材日時点(2023年5月)のものです。