「おはよう、かまくら。」
そんなメッセージボードが出迎える【朝食屋COBAKABA(コバカバ)】の店主・内堀敬介さんに、なぜ “朝食屋” なのかを伺った。
「おはよう、かまくら。」
そんなメッセージボードが出迎える【朝食屋COBAKABA(コバカバ)】の店主・内堀敬介さんに、なぜ “朝食屋” なのかを伺った。
「暮らす人の視点に立った家庭料理の食堂を営んでいましたが、東日本大震災をきっかけに、普段の暮らしや自然、空気のように当たり前な “時のめぐり” と自分たちとの関係を考えるように。太陽の運行や月の満ち欠け、季節や一日の時の動きなど、自然のリズムを感じ、その波にのれるよう、太陽が元気な時間帯に営業することにしました」と内堀さん。
店に時計はなく、大きな窓から射し込む光、行き交う人の流れや服装が季節や時の移ろいを感じさせてくれる。
鎌倉の大地で育った旬の野菜たっぷりの味噌汁を手に、「季節をお知らせする味噌汁が、うちの時計」と話す内堀さん。とはいえ、朝型生活や自然の時間の流れに寄り添う生き方を押しつけることはしたくない、すべての人がそうする必要はないという。
「たくさんの日本人は待ち合わせや締め切りという “社会時間” の中でついつい忙しく過ごしてしまいがちですが、一方で日が昇ったり、月が出たり、ほかの動植物と同じように “自然時間” の中にも生きている。朝昼夕晩、春夏秋冬といった自然時間を少し意識して、その自然時間とどのようなスタンスでつきあっていくのか。鎌倉の朝ごはんが、考えるきっかけになったら嬉しい」
「鯖の文化干し定食」 は、2017年に朝食専門店にリニューアルして以来の人気メニューだ。「ゆったり流れている時間こそが、この土地の魅力」と、内堀さん。
「食事した後は、山でも海でも自宅でもそれぞれが好きな場所で時間を楽しんでほしい。 そのスタートの場になれたら嬉しいです」
朝ごはんのために早起きすれば、人の少ないうちに町を歩き、混む前に家路につくといったフレックスな行動もできる。鎌倉は自然に寄り添い、季節や時間によって多種多様な人が訪れる町。だからこそ人の動きも、草木や旬の変化も自然時間に動かされていると気付けるのだ。
おはよう、と町に挨拶したくなる、珠玉の朝時間を過ごしてみて。